オープン・サイエンスの重要さ
西イングランド大学ブリストル校機械エンジニアリング学部のアラン・ウィンフィールド教授が、研究過程や研究成果を常にオープンにしておく「オープン・サイエンス」の重要性と有益性について、『ロボハブ』で述べている。
西イングランド大学ブリストル校機械エンジニアリング学部のアラン・ウィンフィールド教授が、研究過程や研究成果を常にオープンにしておく「オープン・サイエンス」の重要性と有益性について、『ロボハブ』で述べている。
一般の読書家たちは、どんなロボットの本を読んでいるのだろうか。
読書家たちが集まっている情報交換サイト、グッドリーズでトップにランキングされ、評価も高いロボット関連本を5冊紹介しよう。小説や作り方、基本技術に関する本は除いている。ちなみに、アイザック・アシモフの本は根強く読まれている模様。
グーグルのエンジニアリングのディレクターに就任したレイ・カーツワイル氏が方々で説いていることで、あと15年もすればロボットの知性は人間を超えるという論調が目立っている。
それに対して、西イングランド大学ブリストル校ロボティクス学部のアラン・ウィンフィールド教授が『ロボハブ』で反論している。
ウィンフィールド教授の論点は次の5つだ。
西イングランド大学ブリストル校ロボティクス学部のアラン・ウィンフィールド教授が考える、ロボット開発の新しい機会に関するスライドがロボハブに掲載されている。
このスライドは、先頃ロンドンで開かれた『ロボティクス: イノベーションからサービスへ』と題されたミーティングで行われたプレゼンテーションに用いられたもの。いくつか興味深いポイントがあるので、紹介しよう。
ひとつは、「ダイナミック・オートノミー」という概念。これまでロボットは完全なる自律性(オートノミー)を備えていなければならないと考えられてきたが、ニュー・ロボティクスにおいてそれは神話になりつつあり、それよりも限ったタスクを自律的に行うダイナミック・オートノミーによってサービス製品として成立しているという点。自律性をより広く捉えることが鍵になるということだ。
もうひとつは、すぐ製品化できるようなロボットはもう先取りされてしまったのかという疑問に対して、機会はまだまだあるということ。特に「コンパニオン・ロボット(介護ロボットなど人に寄り添ってサポートするロボット)」、「ウェアラブル・ロボット(身体障害者やリハビリ向け)」、「ダイナミック・オートノミーを備えたテレプレゼンス・ロボット」の分野が期待できるとしている。
その上で、ロボット業界にイノベーションを起こすには、研究と業界との新しいパートナーシップ(たとえばロボット技術のクリアリングハウス設置など)や、商用化のための柔軟なプロセス(キャンパス内のスタートアップなど)が重要としている。
ロボハブが、ロボット界のキーパーソンに「ロボットのメインストリーム化を妨げているのは何か?」と尋ねた回答を掲載している。その中から、いくつかをかいつまんで紹介しよう。どれも、思わずうなずくことばかり。
ブライアン・ガーキー(オープンソース・ロボティックス財団CEO): 現在は、状態推定や知覚、経路計画などかなりの専門知識を持つ研究者でないと、ロボットのアプリケーションが開発できない。ソフトウェアを書ける人間はたくさんいるのに、そこがネックとなって役に立つロボットが作れない。プログラムのためのビルディング・ブロックがあれば、そのバリアは低くなるはずだ。また、ロボット業界は実用的な目的を見つけるのが病的なほどにヘタだ。問題解決に際して、その問題を抱えた人々が本当に望んでいるのは何かを見いだすことに集中しなければいけない。
マーク・ティルデン(ロボット開発者、BEAMロボティックスやロボサピエンを開発): パーソナル・ロボットの最大の壁は、コストと時間だ。ロボットはSFやハリウッド映画によって大いにプロモーションされているが、作るのは容易でなく、複雑性が増せばコストと時間は幾何級数的に増大する。従って、うまくいかない作品を途中で放棄して次に取りかかった場合、完成することから得られる進化的な発見やスキルが得られないばかりか、途中で放置したプロダクトは金がかかったために捨てるわけにもいかず、ずっと作り手を悩ませ続けるのだ。そこが、プログラムのコード、本、他のバーチャル・プロジェクトを手がけるのと違った点だ。ロボットがもっと安く作れるようになり、バーチャル・シミュレーションではなく現実世界で失敗を繰り返してわれわれに学習の機会を与えてくれるようにならないと、本当に役立つロボットは生まれない。
アラン・ウィンフィールド(西イングランド大学ブリストル校ロボティックス教授): 何をもってメインストリームと呼ぶのかによるが、産業ロボットや海底油田のメンテナンスや監視のためのロボットは、すでにメインストリームになっている。惑星探索でも同様だし、テレビの漫画や映画などの文化面でもすっかりメインストリームになっている。だが、もちろん、ロボットがまだ人間の夢を満たしていないという心情は理解できる。大きな壁になっているのは、技術ではなく人間だ。たとえば、災害時の救援にはすでに遠隔操作のロボットが使われるのに、なぜ消防隊の標準装備にロボットが入っていないのか。それは、訓練や運営手続きというめんどうさから、消防署や消防隊がロボットをまだ受け入れようとしないからだ。もっと長期的な視点で見ると、メインストリームであるとはどういうことなのか。みながパーソナル・ロボットを持っていることだろうか、それとも車がすべて自律運転することだろうか。メインストリームと言っても、いいものばかりではないだろう。今の携帯電話のようにロボットがたくさんいる風景はちょっといやだ。何がメインストリームなのかはわからないが、確かなことは、サステイナブルで人間のためになり、そして生活の価値を高めてくれるようなロボットがメインストリームになって欲しいということだ。
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