資金調達をしたロボット・スタートアップが増えている
最近、ロボット関連のスタートアップが新たな資金を調達したというニュースをよく耳にするようになった。出資するのは、ベンチャー・キャピタルが中心のようだ。それらをまとめてみよう。
最近、ロボット関連のスタートアップが新たな資金を調達したというニュースをよく耳にするようになった。出資するのは、ベンチャー・キャピタルが中心のようだ。それらをまとめてみよう。
『ロボビジネス2013』会期中は、隣接する展示会場で70社近いロボット・メーカー、部品メーカー、スタートアップ、関連出版社などが出展していた。
何と言っても目立ったのは、会場入り口に大きなブースを構えていたスータブル・テクノロジーズ社。この会議のゴールド・スポンサーでもあり、またここに来られない関係者にテレプレゼンス・ロボットのビームをレンタルしていたこともあり、何かと目立つ存在だった。
『ロボハブ』が専門家に意見を聞くシリーズ。今回は、ロボット・ビジネスにおいてオープンソース開発がいいモデルかどうかがテーマだ。3人の専門家の意見を要約で紹介しよう。
ホワイトハウスでは、『We the Geeks』というビデオ・シリーズを放映している。「オレたちは、ギーク(テクノロジーオタク)だぜ」とでもいう意味で、ホワイトハウス内のテクノロジーおよび科学政策に関するオフィスが主催し、複数の人々が参加できるテレビ会議システム、グーグルプラス・ハングアウトを使って、いろいろなテーマで専門家が話し合うというしくみだ。
これまで取り上げられたテーマはなかなかに興味深いものばかりで、「小惑星」「21世紀的な履歴書とは」「社会貢献におけるイノベーション」「スーパーヒーローのための新素材」などがある。
8月初頭に開かれたのは「ロボット」論議。同オフィスのヴィージェイ・クマー氏(ロボティクスおよびサイバーフィジカル・システムズ部門アシスタント・ディレクター)とトム・カリル氏(テクノロジーおよびイノベーションの次席ディレクター)がモデレーターとなって、以下の人々が参加した。
・ロドニー・ブルックス(リシンク・ロボティクス会長)
・ダニエラ・ラス(MITコンピュータ科学およびAIラボ(CSAIL)のディレクター)
・マシュー・メイソン(カーネギーメロン大学(CMU)ロボティクス・インスティテュートのディレクター)
・ロビン・マーフィー(テキサスA&M大学ロボット支援による捜索および救援センターのディレクター)
・アリソン・オカムラ(スタンフォード大学コラボラティブ・ハプティクスおよびロボティクス医療ラボの主席研究員)
・ジョン・グリーン(小説家、ビデオ・ブロガー)
50分足らずの話し合い中、STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学教育)に関する話題も多かったが、その他にもおもしろかった発言を以下にいくつか挙げておこう:
単純な繰り返し作業を行う産業ロボットとして注目されているバクスターは、研究用にも提供されている。研究用バクスターは通常2万2000ドルで販売されているが、先頃OSRF(オープンソース・ロボティクス財団)が、メーカーのリシンク・ロボティクス社からバクスターを1台贈られたようだ。OSEFのスタッフが、そのプレゼントの木箱を開ける様子がビデオに収められている。
研究用バクスターは、コアになっているソフトウェア・システムは触れられないが、その上の開発用SDKレイヤーはROS(ロボットOS)に基づいていてオープンになっている。ここで外部の研究者や開発者たちに、おもしろいアプリケーションを生み出してもらおうというわけだ。
すでにアメリカの数大学の研究室でバクスターが用いられているらしく、『IEEEスペクトラム』誌によると、周辺のモノを3Dで捉えてデータを蓄積させたり、ヒューマン・インタラククションの研究に使われたりしているようだ。リシンク・ロボティクス社の説明には、「深夜の研究のお伴にぴったり。しかも夜食のピザを食べなくても働きます」と書かれている。
新たな研究からどんなアプリケーションが出てくるのかも興味深いが、ロボット・メーカーが自社のハードウェア上で動くソフトの部分で、外部研究が入り込む余地を設けておくというモデルも面白い。アンドロイドOSのスマートフォンのように、アプリを開発するディベロッパーたちが続々と出てくる時が来るかもしれない。
『アントレプレナー』誌が、コマーシャル分野で実働するロボットを開発した8社を紹介している。
8社はそれぞれ、農業、飲食サービス、環境リサーチ、リハビリ、製造、一般医療、セキュリティー、太陽エネルギーの分野向けのロボットを開発した。ロボットと聞いて想像するようなヒューマノイドなかたちはしていないが、どれも自律的に特定の役割を果たすものだ。
記事の冒頭で、カーネギーメロン大学ロボティクス・インスティテュート内のナショナル・ロボティクス・エンジニアリングセンターのディレクターであるスティーブ・ディアントニオ氏は、「ロボットの商用化は簡単ではない。真の投資リターンが実感できるような応用方法を見いださなくてはならない」と語っている。
同記事で取り上げられている8社は以下:
・ブルーリバー・テクノロジー社(トラクターの背後に装着され、畑の雑草だけを見分けて除草剤をスプレーする)
・ブリッゴ社(バリスタが入れてくれるコーヒーのプロセスを、ロボットで再現。高度なカスタマイズも可能)
・リキッド・ロボティクス社(海上に浮かぶ海洋研究用ロボットが、海や波の観察を行う。波動から電力を得るため、半永久的に稼動する)
・エスコ・バイオニクス社(5ワットという省電力型のエクソスケルトンを開発。軍事用のほか、膝や腰などの身体能力を失った障害者、高齢者の歩行補助となる)
・リシンク・ロボティクス社(製造現場で単純作業を行うロボット、バクスターを開発。作業工程は、バクスターのアームを動かして入力する)
・インタッチ・ヘルス社(遠隔医療のためのテレプレゼンス・ロボット。通常の病院でも医師の回診に利用できる)
・ロボテクス社(戦場でのサーベイランスに利用できるリモートコントロール型ロボット。ロボットアームを付けて爆弾除去などに役立てることが可能)
・キューボティクス社(最大1200個のソーラーパネルの向きを40分ごとに変えるロボットを開発。ソーラーパネルのメンテナンスのためにデータも収集する)
SRI(スタンフォード・リサーチインスティテュート)インターナショナルは、政府機関や企業から受託して、先端技術に関わる研究開発やそのサポートを行う非営利組織である。シリコンバレーのメンロパーク市に拠点を持ち、研究開発内容は生物科学、医学、宇宙工学、素材産業、情報システム、コンピュータ科学、環境科学など多岐にわたっている。
ことに、ロボット開発の歴史は長く、現在もエンジニアリングR&D部門のロボティクス・プログラムに引き継がれている。有名な手術ロボットであるダ・ヴィンチが最初に開発されたのもここで、インテューイティブ・サージカル社は50社以上もあるSRIのスピンアウトのひとつである。
シリコンバレーのロボット業界の中心人物のひとり、SRIロボティクス・プログラムのディレクター、リチャード・マホーニー氏に、ロボニュースがインタビューした。
少し前の記事になるが、ボストン・グローブ紙にマサチューセッツ州のロボット産業の現状がレポートされていた。
アイロボット、リシンク・ロボティクスなど同州に拠点を置くロボット会社に言及されているが、何でも、ここにはロボット会社が約100社あり、また大学などで35のロボット研究開発プログラムが進められているのだという。2011年にロボット産業に従事している従業員は3200人、同年のロボット産業における売上は20億ドルに達したという。
2012年10月には、マサチューセッツ州立大学ローウェル校にロボットのための実証実験センター(NERVE = New England Robotics Validation and Experimentation Center)がオープンしたという。ロボットの機能を実験するためのプールや砂場などが用意されており、ロボット会社の利用にもオープンだという。こうした場所が設けられたのは、同州のロボット開発の速度を上げることが目的だ。
「イノベーションがまたイノベーションを呼ぶ。だから、マサチューセッツ州のロボット産業は盛り上がっているんです」と、アイロボット社CEOのコリン・アングルが語っている。
毎年、画期的なゲームチェンジャーとなる製品やサービスに贈られる「エディソン賞」を、今年は17のロボット関連製品が受賞した。
今年選ばれた受賞製品は、130以上。そのうちリシンク・ロボティクス社のバクスターが生産性ツール部門の金賞を、アイロボット社の樋掃除ロボットLooj 330が家庭用製品部門の金賞を、リクイッド・ロボティクス社のウェイブ・グライダーが発電および電気利用部門の金賞を受けた。
変わったところでは、スマートフォンなどのエレクトロニクス製品を査定して現金と替える自動下取り機械エコATMも、環境保全部門で金賞を受賞。
エディソン賞は1987年から設けられている。各社は自薦で製品を提出した後、述べ3000人におよぶ専門家、学者、過去の受賞者らによって構成されるパネルの選考を受ける。今年の授賞式は、400人以上の関係者が列席する中、4月末にシカゴで行われた。
ロボハブが、17のロボット製品をまとめて掲載している。
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