TRIが360°のオープンハウス開催。天井からぶら下がるロボットも。

米時間9月30日にトヨタのロボットとAI研究組織TRIが、プレス向けのバーチャル・オープンハウスを行なった。

ここで行われている研究の概要とロボット研究の現時点についての解説があり、トヨタが計画しているウーブン・シティー(Woven City)にどんなロボットが実験的に盛り込まれるのかも垣間見ることができる。

TRIのカリフォルニア本部の受付で出迎えるギル・プラットCEO

TRIで行われている研究は、自動運転技術、ロボティクス、新素材、機械支援による認識(人工知能)だ。強調されているのは、TRIが人間を代替するのではなく「人間の力を支援して増幅すること」というアプローチを取っていることだ。

ロボティクスについては、いくつもの面白い事実や視点が共有された。

特に高齢者や介護者のために役立つロボット開発に焦点を当てているが、そのためにチームが日本へ出向いて高齢者の生活を実際に観察したこと。日本での生活、住まいの環境などを考慮しているということだ。

驚いたことに、天井からガントリー式にぶら下がっている双腕ロボットが登場した。日本の住環境の狭さを考え、人やペットの邪魔にならないようにする。

天井に設置されたレールで移動する双腕ロボット。現在はまだスピードは鈍いが、夜間に作業すれば役立つ。ジョイントが多いと、学習には利点があるという。

このロボットは、窓を拭いたり冷蔵庫からモノを取り出したりができる。アームがかなり長いので、いずれ家事を色々こなせるようにするのだろうが、現在は掃除に焦点をあてているという。

ちなみにTRIの本部には、モデル住居が作られており、ロボットを日常的な環境でテストしている。

TRI内に作られているテスト用住宅。

ロボットの技術については、以下のポイントが挙げられた:

  • 現実世界での実例を、数少なく教示して学ばせる。
  • その際にVRを利用して、ロボットに動きや把持方法などを学ばせる。
  • フリート学習により、1台の学習が他のロボットでも共有できるようにする。
  • シミュレーションを有効に利用する。現実では不可能なほどの回数をバーチャルに繰り返して学習を加速化する。オープンソースのシミュレーション・プロジェクトDrakeもある。
  • 現実世界での物理的なテストも怠らない。
シミュレーションやVRによる教示は、TRIのマサチューセッツ州ケンブリッジの拠点でも多く研究が行われている。

TRIのマサチューセッツ州の拠点では、皿洗い機に食器を入れるロボットやソフト・グリッパーなどが開発されている。ここでは、シミュレーションやVRを利用した教示方法の実験も中心となって進められている。その中でも、稀に起こる例外的なケースにどう対応するのかが課題だという。

それにしても、天井からぶら下がるロボットとは楽しみである。これからのロボットは、ロボット単体ではなく住環境の新しいデザインと共に発展していくのだろう。ウーブン・シティーが完成すれば、その姿も見られるということだ。

下は、プレス・カンファレンスで公開されたビデオ。ロボットの詳しい説明は9:40頃から。

Tags:

Comments are closed.


Copyright © robonews.net