カテゴリー: 家庭用ロボット

現代のおもちゃロボットは、子供たちに考える力を与える

ウォールストリート・ジャーナルが、最近のおもちゃロボットをいくつか紹介している

取り上げられているのは、レゴマインドストロームE3、ロボニュースでも紹介したロモーティブのロモ、そしてオーボティックス・スフェロ2.0、そしてそんなおもちゃの部品になるリトルビッツだ。

スマートフォンを載せたロモ。小型のモバイル兼テレプレゼンス・ロボット。

スマートフォンを載せたロモ。小型のモバイル兼テレプレゼンス・ロボット。

ものづくりの好きな子供たちにとって、最近のおもちゃは格段と高度になった。スマートフォンが利用できたり、プログラムが可能だったり、またモーターやプロセサーが非常に安くなったおかげだ。子供たちも手を動かしながら学べるこの時代は、おもちゃの黄金時代だと、記事は興奮気味。

スフェロは、秒速7フィート(2.1メートル)で走る球体。直角に曲がったり、回転させたりもできる。

スフェロは、秒速7フィート(2.1メートル)で走る球体。直角に曲がったり、回転させたりもできる。

こうしたおもちゃロボットは、8歳の子供でも遊べるほどのシンプルさがありながら、かなり専門的な技術も盛り込まれていて、ロボット開発者やプログラマーを刺激するものだという。

リトルビッツのキットの一例

リトルビッツのキットの一例

往年の(?)人気者、ファービーがカムバックを狙う

1990年代末に一世を風靡したハスブロ社製ペット・ロボット、ファービーが、シャワーを浴びたり卵を産んだりするという、新たな装いでカムバックを計画中だ。『エンドガジェット』が伝えている

とは言え、自分でシャワー室へ歩いて行くわけではない。タブレットやスマートフォン上のアプリと連動して、シャワーを喜んだり、トイレへ行ったりするというしくみだ。シャワーの温度が高すぎると、文句も言う。トイレの後は、ちゃんと水を流さなければならない。

他にもいろいろ「手間のかかる」しかけが盛り込まれ、汚れてきたりお腹がすいたりすると、持ち主に対処を要求する。持ち主はお世話で忙しくなるというわけだが、ちゃんとお世話をしていると、そのうち卵を産んでくれる。なかなかに凝ったつくりである。

ファービーが卵を産むならば、日本のタマゴッチだって新たに生まれ変われるかも?

ホワイトハウスの『オレたちはギークだぜ』シリーズで、ロボット論議

ホワイトハウスでは、『We the Geeks』というビデオ・シリーズを放映している。「オレたちは、ギーク(テクノロジーオタク)だぜ」とでもいう意味で、ホワイトハウス内のテクノロジーおよび科学政策に関するオフィスが主催し、複数の人々が参加できるテレビ会議システム、グーグルプラス・ハングアウトを使って、いろいろなテーマで専門家が話し合うというしくみだ。

これまで取り上げられたテーマはなかなかに興味深いものばかりで、「小惑星」「21世紀的な履歴書とは」「社会貢献におけるイノベーション」「スーパーヒーローのための新素材」などがある。

8月初頭に開かれたのは「ロボット」論議。同オフィスのヴィージェイ・クマー氏(ロボティクスおよびサイバーフィジカル・システムズ部門アシスタント・ディレクター)とトム・カリル氏(テクノロジーおよびイノベーションの次席ディレクター)がモデレーターとなって、以下の人々が参加した。

・ロドニー・ブルックス(リシンク・ロボティクス会長)

・ダニエラ・ラス(MITコンピュータ科学およびAIラボ(CSAIL)のディレクター)

・マシュー・メイソン(カーネギーメロン大学(CMU)ロボティクス・インスティテュートのディレクター)

・ロビン・マーフィー(テキサスA&M大学ロボット支援による捜索および救援センターのディレクター)

・アリソン・オカムラ(スタンフォード大学コラボラティブ・ハプティクスおよびロボティクス医療ラボの主席研究員)

ジョン・グリーン(小説家、ビデオ・ブロガー)

50分足らずの話し合い中、STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学教育)に関する話題も多かったが、その他にもおもしろかった発言を以下にいくつか挙げておこう:

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「おーい、お茶」と叫ばなくても、ちゃんと注いでくれるロボット

コーネル大学のロボット学習ラボのパーソナル・ロボティクスグループの研究者たちが、マイクロソフトのキネクトを利用して、特定の状況における人間の動作の流れをロボットに学習させている。

研究者たちは、たとえば歯を磨いたり、シリアルにミルクを注いだり、薬瓶を開けたりといった活動をおこない、各活動に際して45秒のキネクト・データを記録、それをロボットにコンパイルして、各活動に伴う動作を理解させるようにした。

そうして学習したロボットは、人間がある動作を行うと、次の動作を予想して手助けに出てくる。ビデオでは、鍋を持ち上げて冷蔵庫へ向かおうとすると、冷蔵庫のドアを開けてくれたり、カップを差し出すと飲み物を注いでくれたりするロボットの様子が撮られている。

こんなロボットなら、誰かさんよりはよほど気が利くかも。本能的とも言える反応を可能にすることは、AI研究にとっては重要な進歩という。

コーネル大学では、このコードを他の研究者も活用できるようオープンに公開している

エクストリームテックの関連記事はここ

「日本人はロボットのアーリー・アダプターになる」。SRIロボティクス・プログラム・ディレクター リチャード・マホーニー氏インタビュー

SRI(スタンフォード・リサーチインスティテュート)インターナショナルは、政府機関や企業から受託して、先端技術に関わる研究開発やそのサポートを行う非営利組織である。シリコンバレーのメンロパーク市に拠点を持ち、研究開発内容は生物科学、医学、宇宙工学、素材産業、情報システム、コンピュータ科学、環境科学など多岐にわたっている。

ことに、ロボット開発の歴史は長く、現在もエンジニアリングR&D部門のロボティクス・プログラムに引き継がれている。有名な手術ロボットであるダ・ヴィンチが最初に開発されたのもここで、インテューイティブ・サージカル社は50社以上もあるSRIのスピンアウトのひとつである。

シリコンバレーのロボット業界の中心人物のひとり、SRIロボティクス・プログラムのディレクター、リチャード・マホーニー氏に、ロボニュースがインタビューした。

SRIロボティクス・プログラムのディレクター リチャード(リッチ)・マホーニー氏

SRIロボティクス・プログラムのディレクター リチャード(リッチ)・マホーニー氏

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IKEAの家具を組み立ててくれるロボット

MITの分散ロボティクスラボが、家具を自律的に組み立てるロボットを開発した。5月半ばにドイツのカールスルーエで開かれたICRAでも展示されたもの。

このロボットは、クカ(KUKA)社製のYouBotsに特製のグリップハンドを付けたもの。グリップハンドは、2つの逆回転する歯車にゴムバンドを装着してネジが回転できるように考えられている。またソフトウェア面では、特定のCADを読み込み、部品の形状やネジ穴の位置を把握して、幾何学的推論システムやシンボリック・プラニングを駆使して組み合わせを考えるという。

研究者たちは、いずれもっと複雑な家具の組み立てもできるようにしたいと考えているという。これでIKEAの家具を組み立てる「頭痛」が軽減されるのなら、大歓迎。

『エクストリームテック』の関連記事はここ。『IEEE Spectrum』の関連記事はここ

欧米のロボット会社はR&Dに、アジアの会社は作業ロボット開発に

調査会社ABIが、世界の消費者向けロボット市場に関する調査レポートを発表した。

これによると、2012年の市場規模は16億ドルで、作業ロボット、エンターテインメント・ロボットが大きな位置を占めた。同市場は、2017年には65億ドルと4倍以上の規模に拡大すると予想され、上記2つのカテゴリーに加えて、セキュリティーおよびテレプレゼンス・ロボットが第3のカテゴリーとして台頭してくるという。

世界の傾向として見られるのは、アイロボット社が消費者向けロボットで首位を保っているものの、アジアのロボット会社も同様のロボット製品、そして窓ふきロボットのような新しい製品を打ち出していること。そして、欧米のロボット会社はパーソナル・ロボットのR&D(研究開発)に注力している一方、アジアの会社は作業ロボットを開発することに力を入れているという。

スマートフォンやタブレットに利用されているアプリケーション・プロセッサーやセンサーなどが、この分野のコスト削減に大きく働いている。プロセッサー、マイクロコントローラー、センサー、そしてアクチュエーター、サーボ機構、マニピュレーターを含む部品の市場は、2012年には7億ドル。これは2017年には5倍に拡大するという。

調査ディレクターを務めたフィリップ・ソリス氏によると、消費者向けロボットの発展を阻害しているのは、世界的な不況に加えて、安全性に対する不安だという。ロボットが階段から落ちてきたり、電気コードにひっかかってランプを倒して火事になるといったことを、人々は怖れているという。「解決できる課題だが、コストがかかる」と同氏。

このレポートの目次は見ているだけで面白い。たとえば、「消費者にとっての価値」のところに、手間、時間、コストの削減に加えて、「心の平安が増す」という項目がある。確かに、心の平安を増やしてくれるロボットが欲しい。

同レポートのプレスリリースは、ここに。


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