カテゴリー: 家庭用ロボット

コンピュータ・ビジョン市場は、2016年まで毎年9.4%拡大する

リサーチ・アンド・マーケット社が発行した調査報告書『世界のマシーン・ビジョン市場2012-2016』によると、同市場は2012年から2016年まで年々平均9.4%ずつ成長していくという。

成長を促進しているのは、製造などの産業部門以外の運輸、セキュリティーおよびサーベイランス、軍事および国防、交通管理といった分野だという。ただ、専門家の数が不足しているため、需要や必要性に応じた技術の施行が進んでいないという。

報告書では、バスラー社(ドイツ)、コグネックス社(アメリカ)、テレダイン・テクノロジーズ社(アメリカ)を中心にこれらの企業について触れられている。報告書の価格は2500ドル。

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過去と現在(と未来)のロボット写真

『ニューヨーク・タイムズ』と雑誌『アトランティック』に数々のロボットの写真が掲載されている。

22歳の発明家が製作したロボット「ミスター・ジョン・キロワット・オーム」は、歩き,話し、タバコを吸い、火を噴いたという。(www.nyt.comより)

22歳の発明家が製作したロボット「ミスター・ジョン・キロワット・オーム」は、歩き,話し、タバコを吸い、火を噴いたという。(www.nyt.comより)

前者は、1920年代後半から作られていたいろいろなヒューマノイド型ロボットについての記事。ロンドンのモデル・エンジニア協会の展示会に登場したロボット「エリック」は、手を挙げて観衆に静粛を求めた後、聞きづらいスピーチを行い、そして着席したという。ウェスティングハウス社は、人間の声に従う「ミスター・テレヴォックス」や「エレクトロ」を製作。タバコを吸ったり口笛を吹いたりしたらしい。それでも、この当時のロボットが後に単純作業を行うようになる産業用ロボットのきっかけとなったと記事は述べている。

こちらにスライドショーがある。

後者の記事は、ここ最近のロボット開発を写真で示すもの。軍事用、救援用、介護用、コンパニオン用、宇宙探索用など多種多様。日本のロボットも数台出ている。クウェートのラクダ・レースでは、背中に載っているのがロボット騎手で、トレーナーが後続する車の中から操作しているとか。

クウェートのラクダ・レースで使われているロボット騎手(http://www.theatlantic.com/より)

クウェートのラクダ・レースで使われているロボット騎手(http://www.theatlantic.com/より)

一体このロボット騎手は、ラクダの背中をポコポコ叩いているのだろうか……、と思って調べてみたところ、中東ではラクダ・レースによく使われているとのこと。従来は、歳もいかない少年の騎手が多かったが、体重を抑えるためにまともな食事もさせてもらえないことがほとんどで、10年ほど前から少年騎手は禁止されるようになったという。その代わりを務めているのがロボット騎手だ。手綱を引き、鞭を振るうらしい。

クラウド・ファンディングで目標額の3倍以上を達成したオモチャ・ロボット

グーグルとアップル、フロッグ・デザインの出身者らで創設したプレイアイ社のクラウド・ファンディングが目的額の3倍以上に達している。

同社の製品は、球体をしたふたつのロボット、「ヤナ」と「ボー」だ。いずれもタブレットなどから子供が簡単にプログラムをすることができ、移動したり、モノを運んだり、鉄琴で音楽を奏でたりさせることができる。この手のオモチャにしては少々値段が高めでヤナは49ドル、ボーは149ドル。来年市販される際には、価格は20ドル高くなるという。開発者向けのAPIへのアクセス付きだと、2つのロボットと合わせて189ドルとなる。

プレイアイ社の「ボー」(左)と「ヤナ」(右)は子供がプログラミングを習得するよう考えられたロボット(https://www.play-i.com/より)

プレイアイ社の「ボー」(左)と「ヤナ」(右)は子供がプログラミングを習得するよう考えられたロボット(https://www.play-i.com/より)

プレイアイ社の謳いは、「これからの子供にとって、プログラミングのリタラシーを持つことは必須になる」というもの。ヤナとボーを動かすためのプログラミングがその第一歩となるというわけだ。

対象としている年齢は、5〜12歳。それ以上は、APIでさらに高度プログラミングが試せるという。ボーは車輪がついていて、障害物を避けて移動でき、ボーは触れたり叩いたり振ったりして、発光するなどの指示が可能。スクラッチやブロッキーなど、子供に親しまれているビジュアル・プログラミングにも対応する。

自社サイトでクラウド・ファンディングを行っており、25万ドルの目標額に対して、11月23日現在で89万4000ドル以上が集まっている。評判は上々だ。

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資金調達をしたロボット・スタートアップが増えている

最近、ロボット関連のスタートアップが新たな資金を調達したというニュースをよく耳にするようになった。出資するのは、ベンチャー・キャピタルが中心のようだ。それらをまとめてみよう。

モノレール上を走行してソーラーパネルの向きを変えるキューボティックス社のロボット(www.qbotix.comより)

モノレール上を走行してソーラーパネルの向きを変えるキューボティックス社のロボット(www.qbotix.comより)

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スタンフォード大学+UCバークレーのロボット・シンポジウム全記録が見られる。アンキドライブの生産現場も公開

さる10月11日に、カリフォルニア大学バークレー校で、同大学とスタンフォード大学のロボット研究者を中心にしたシンポジウムが開かれた。残念ながら、ロボニュースは取材に行けなかったが、その全記録ビデオがサイトに載っている

ロボット開発に重要な技術研究の発表と並んで、すでにロボット製品を出している新興企業のプレゼンテーションもある。時間があれば、ぜひ見ていただきたい。セッションは4部に分かれているが、このプログラムのページから各スピーカーのプレゼンテーションに直接アクセスできるようになっている。

ロボニュースでは、最近話題になっている新興企業アンキ社(Anki)とレッドウッド・ロボティクス社のプレゼンテーションを見てみた。アンキ社は新しいタイプのゲームカーのメーカー、またレッドウッド・ロボティクス社はSRIウィロー・ガレージメカ・ロボティクス社の合資で生まれ、ロボットアームを開発中とされているが詳細がまだ隠されている企業である。

アンキ社のアンキドライブ。ビデオゲームが飛び出してきたような興奮が味わえる

アンキ社のアンキドライブ。ビデオゲームが飛び出してきたような興奮が味わえる

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「家庭用菜園のためのロボットも出てくるでしょう」。グリシン・ロボティクス社ヴァレリー・コミッサロヴァ氏インタビュー

ロシアを拠点にするグリシン・ロボティクス社は、いち早くロボット分野への投資を目的に設立されたベンチャーキャピタルである。創設者のディミトリ・グリシン氏は、ロシアのインターネット会社Mail.Ruを設立した人物で、ロボットへの関心が高く、個人資産2500万ドルを元に投資を行っている。同氏についてはロボニュースでも以前取り上げたことがある。

グリシン・ロボティクスは、起業したばかりのスタートアップへのシード投資が中心で、対象は一般消費者向けのロボット会社。現在同社が投資しているスタートアップには、ナノサティスファイ社(極小衛星を製造)、ロボッツアップス社(ロボットのためのアップ・ストアー)、ダブル・ロボティクス社(iPadを利用したテレプレゼンス・ロボット開発)、スヴィヴル社(被写体に合わせて動くビデオ・キャプチャ技術開発)、ボルトio(ハードウェア・インキュベーター)などがある。

先頃『ロボビジネス2013』会議に参加し、いくつかのパネルでモデレーターも務めていた同社の事業開発ディレクター、ヴァレリー・コミッサロヴァ氏に、グリシン・ロボティクス社の投資ビジョンなどを尋ねた。

グリシン・ロボティクス社事業開発ディレクターのヴァレリー・コミッサロヴァ氏

グリシン・ロボティクス社事業開発ディレクターのヴァレリー・コミッサロヴァ氏

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『ロボビジネス2013』会議レポート<その3> 基調講演から、重要ポイントを抽出

ロボビジネス2013』の基調講演は、業界の現状、課題などを知る上で有益な内容が豊富にあった。その中から、いくつかのポイントを紹介しよう。

『われわれは誰だ、これからどこへ向かうのか(What Are We? Where are We Going?)』と題した講演で、調査会社ミリアのダン・キャラ氏は、産業ロボット、サービス・ロボットのいくつかの分野での現状を分析した。

産業ロボットでの市場は現在260億ドルで、年間の出荷ユニット数は16億。これに対して、消費者向けロボット市場は12億とまだ小さい。しかも家庭用ロボットでの成長はほとんど見られず、ビジネスモデル上の問題があるのではないかと言う。この領域で最も大きな売上を持つのはアイロボット社で、これまでお掃除ロボットのルーンバを1億台売った。技術、マーケティングの点で必要とされるロボットを作った会社が成功し、また業界全体に大きな飛躍をもたらすことになる。

同氏がロボット市場を分類した次のスライドは多いに参考になる。

ロボット市場の分類図(Myria RAS)

ロボット市場の分類図(Myria RAS)

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20台の運搬ロボットが働く、シリコンバレーの病院の様子

シリコンバレーにある町、マウンティンビューはグーグルのお膝元としても知られている。早くから町の中にグーグルがWIFIを敷設し、ちょっと近未来の都市の姿を感じさせてくれた。

そのマウンティンビューに、数々のロボットを採用しているエルカミーノ病院がある。

エルカミーノ病院は50年以上の歴史を持つ病院だ。しかし、シリコンバレーの病院らしく新しいテクノロジーの導入に余念がない。手術ロボットのダヴィンチは2台設置し、また血液検査も自動的に行えるシステムを10年以上前から使っている。それ以外にも、テレプレゼンス・ロボットのVGOが1台、そして腫瘍を画像ガイダンスによって自動的に精密に焼き切るサイバーナイフなどが利用されている。

そして、2009年に古くて使いにくくなった病院の建物を新たに改築するにあたって、導入したのがエーソン社製の運搬ロボット「タグ(TUG)」である。

病院のスタッフ用通路を前進するタグ。これは薬品を運んでいるもの。

病院のスタッフ用通路を前進するタグ。これは薬品を運んでいるもの。

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ロボットには、どんな顔がふさわしいか

ジョージア工科大学のヒューマンファクターと高齢化ラボが、用途や利用者の年齢層によってロボットに期待される顔がどう異なるのかを調査した

それによると、高齢者は人間的な顔をしたロボットを好む傾向が高く、また労働を行うロボットはロボット的な顔がふさわしいと感じる傾向が高いという。

被験者は用途別にふさわしい顔を選んだ。(http://www.news.gatech.edu/より)

被験者はロボットの役割別にふさわしい顔を選んだ。(http://www.news.gatech.edu/より)

調査は、ロボットに期待されている下のような4種類の役割に従って行われた。またロボットの顔は、「ロボット型」「人間型」「ミックス型」の3種類に分類できるようなさまざまなタイプが選択肢として与えられた。結果は次の通りだ。 続きを読む

インテルがローンチした、ソーシャルにつくる3Dロボット

インテルにはフューチャリストという肩書きの社員がいる。10年以上先の未来の生活はどうなっているのかを予測して、そのフィードバックをインテルの開発者に伝えるのが仕事である。未来を予測するために、SF小説のシナリオづくりの手法を利用したりもする。

そのフューチャリストのひとりである、ブライアン・デビッド・ジョンソンが、オープンソースで開発するロボット・プロジェクト「21世紀ロボット・プロジェクト」を発表した。

オープンソースで作られるロボットの「ジミー」(左)(http://robots21.com/より)

オープンソースで作られるロボットの「ジミー」(左)(http://robots21.com/より)

このプロジェクトでは、3Dプリントできるロボットのファイルとキットを共有、そこにさまざまな開発者がかたちやアプリに自分で手を加えていく。

キットの中味はまだ発表されていないが、プロセッサー、メモリー、サーボモーター、パワーパックなどと予想されている。発表は来年5月の予定。500〜1000ドルの価格を目指しており、現在よりもロボット作りを格段と安くすることも目標だ。

ジョンソンは、ロボットの機能を「パーソナル・ロボットとして、コンパニオンになったり、毎日の薬を飲むようにリマインドしてくれるヘルパーになったりすることも可能」と語っている。開発者らはこのロボット、ジミーの手を見て、何かを掴ませたりすることもできそうとしている。どんなロボットになるのか、可能性は広い。

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