カテゴリー: 軍事用ロボット

DARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)。トライアル戦の現場はこんな具合

DARPA(国防総省高等研究開発局)が今年末に開催するロボティクス・チャレンジ(DRC)のトライアル戦の詳しい概要が発表された

このトライアル線は、来年末のファイナル戦に備えて行われるもので、フロリダ州のマイアミの屋外自動車レース場「ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ」で、12月20〜21日に開かれる予定だ。

DRCトライアル戦の会場イメージ(DARPAサイトより)

DRCトライアル戦の会場イメージ(DARPAサイトより)

チャレンジでは、ロボットが車に乗り込んで運転する、デコボコの地面上を歩く、ドアを開く、バルブを回すといった8つのタスクを行い、それぞれの自律性、認知力、判断力、巧みさといった観点から評価が行われる。これらのタスクは、福島第一原発事故のような緊急時に、人間に代わって現場で作業するロボットの開発を推進するという、DRCの目的に沿ったものだ。

この概要書には、現場で建設される走行トラックや、デコボコの地面、入り口を塞ぐ障害物、産業用はしごの形状などが図解されており、各チームがロボットに練習させるのに役立てることができる。現場では、同じタスクを同時にテストできるように、一部複数のテストユニットも作られるようだ。

一般公開もされるというこのトライアル戦。ロボットたちがどう挑戦するのか、楽しみである。

DARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)に参加する『アトラス』は、こんなロボット

先だって紹介したバーチャル・ロボティクス・チャレンジ(VRC)を勝ち抜き、今年末のトライアル戦に参加する7チームが利用するロボット、アトラスを、DARPA(国防総省高等研究開発局)が公開した

アトラスを製造したのはボストン・ロボティクス社で、DRC用に改訂が加えられている。VRCではシミュレーターを利用してコントロール・ソフトウェアのできばえが競われたが、今度はそれを本物のロボットを動かすのに利用することになる。

DRCに使われるアトラスの最終型(DARPAサイトより)

DRCに使われるアトラスの最終型(DARPAサイトより)

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懸命に働くロボットがこんなにいる!

『アントレプレナー』誌が、コマーシャル分野で実働するロボットを開発した8社を紹介している

8社はそれぞれ、農業、飲食サービス、環境リサーチ、リハビリ、製造、一般医療、セキュリティー、太陽エネルギーの分野向けのロボットを開発した。ロボットと聞いて想像するようなヒューマノイドなかたちはしていないが、どれも自律的に特定の役割を果たすものだ。

記事の冒頭で、カーネギーメロン大学ロボティクス・インスティテュート内のナショナル・ロボティクス・エンジニアリングセンターのディレクターであるスティーブ・ディアントニオ氏は、「ロボットの商用化は簡単ではない。真の投資リターンが実感できるような応用方法を見いださなくてはならない」と語っている。

同記事で取り上げられている8社は以下:

ブルーリバー・テクノロジー社(トラクターの背後に装着され、畑の雑草だけを見分けて除草剤をスプレーする)

ブリッゴ社(バリスタが入れてくれるコーヒーのプロセスを、ロボットで再現。高度なカスタマイズも可能)

リキッド・ロボティクス社(海上に浮かぶ海洋研究用ロボットが、海や波の観察を行う。波動から電力を得るため、半永久的に稼動する)

エスコ・バイオニクス社(5ワットという省電力型のエクソスケルトンを開発。軍事用のほか、膝や腰などの身体能力を失った障害者、高齢者の歩行補助となる)

リシンク・ロボティクス社(製造現場で単純作業を行うロボット、バクスターを開発。作業工程は、バクスターのアームを動かして入力する)

インタッチ・ヘルス社(遠隔医療のためのテレプレゼンス・ロボット。通常の病院でも医師の回診に利用できる)

ロボテクス社(戦場でのサーベイランスに利用できるリモートコントロール型ロボット。ロボットアームを付けて爆弾除去などに役立てることが可能)

キューボティクス社(最大1200個のソーラーパネルの向きを40分ごとに変えるロボットを開発。ソーラーパネルのメンテナンスのためにデータも収集する)

ブリッゴ社のロボティク・バリスタ(同社サイトより0

ブリッゴ社のロボティク・バリスタ(www.briggo.comより)

兵士補強スーツ(外骨格)の評価テストが完了

DARPA(国防総省高等研究開発局)は、2011年からウォーリア・ウェブ(兵士用補強スーツ)プログラムを進めてきたが、その下で開発されたプロトタイプの評価テストが終わったと、『カーツワイルAI』が伝えている

Credit: DARPA

Credit: DARPA

このスーツは、時に100ポンド(45キロ)もの荷を背負って、荒れ地を長時間歩き続けることもある兵士たちの負担と怪我を減らすことが目的とされている。戦闘服の下に身につける柔らかく軽量な服で、荷の重量を分散させ、関節を安定させ、兵士が自然な歩調を保てるようにするために複数のテクノロジーを統合したもの。それでいて消費電力は100W以下という設定だ。

DARPAによるウォーリア・ウェブのコンセプト(credit: DARPA)

DARPAによるウォーリア・ウェブのコンセプト(credit: DARPA)

評価テストのためにも5ヶ月が費やされ、複数のカメラで兵士の動きをキャプチャーして検討が行われたという。今後は、補強スーツを生産し実際の戦闘地でのパフォーマンスがテストされる。

ペットマン、迷彩服を着る

4本足で歩く「ビッグドッグ」を始め、軍事用のちょっと怖いロボットを開発することで知られるボストン・ダイナミックス社のヒューマノイド・ロボット「ペットマン」が、やっと服を着たと話題になっている。

ペットマンは、歩くだけでなく、腕立て伏せをしたり階段を上ったりという動きがテストされてきたが、そもそも服を身につけることが目的だったようだ。というのも、ペットマンの主要な役割は化学兵器が使われた環境でどれだけ兵士の防護服が耐えるかをテストすることだからだ。

からだの動き、関節の曲げなどさまざまな身体の動きだけではなく、高い気温の中で汗をかいたりすることもシミュレートして、極限状態における人体の生理機能も再現するという。

そもそもペットマンは、国防総省の化学生物防衛プログラムの補助金を受けて進められている研究。そのため、化学物質が服を通して漏れてきた際にも、それを感知するらしい。服をテストするだけのために、これだけ高度なロボットを開発するという厳しい現実が伝わる。

ところで、ビッグドッグにもアーム(頭?)がついた模様。ビデオはここから。やっぱり怖い。

DARPAのARMプログラム最新ビデオ

DARPA(国防総省高等研究開発局)で進められているARM(Autonomous Robotic Manipulation)プログラムは、高い自律性を持って多様な作業を行えるマニピュレーターの開発を目的としている。ハードウェア、ソフトウェア、アウトリーチ(一般の人々への広報、教育活動)の3つの部門があり、それぞれチームが組まれている。ハードウェア部門では、3〜4本の指と手のひらを利用して、多様な機能を果たすローコストなロボット・ハンドの実現を目指す。

DARPAが先ごろ公開したこのビデオは、ハードウェア部門で開発を進めるアイロボット社(ハーバード大学、イェール大学協力)のもの。机の上に置かれたクレジットカードをつまみ上げたり、ねじ回しドライバーを認識して、取っ手部分をちゃんとつかんだりする。バットで殴られても壊れないほどのフレキシブルさを備えている。

このプログラムでは、現在50,000ドルのコストがかかるロボット・ハンドが、3,000ドル(1000個以上製造した場合)まで下げられることを目指している。器用な指先を持ったロボットが、危険な場所でも道具を使って人間同様の作業ができるようになることが目標だ。


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