カテゴリー: ロボット研究
2013/05/22
Categories:
ニュース •
ロボット研究
ロボットの動きはぎこちなくて荒っぽい。そんなロボットでは、とても人間と一緒には生活できない。そうしたロボットの振る舞いを改良することに、ディズニー・リサーチ とドイツのカールスルーエ工科大学 が共同で取り組んでいる。
その方法は、人間同士のやりとりをキャプチャーしてデータベース化し、ロボットに倣わせること。ビデオでは、人間から物を受け取るロボットが、相手の動きに合わせて手を差し出したり、静かに受け取ったりする様子が見られる。
VIDEO
人間っぽさを感じさせるのは、ちょっとした動作。ロボットがそれを覚えれば、人間ともスムーズにやりとりできるようになるわけだ。
関連記事はここ 。論文はここ 。
2013/05/22
Categories:
ニュース •
ロボット研究
MITのバイオメトリック・ロボティクスラボ が2009年から手がけているチータ・ロボットの最新ビデオが公開されている。
VIDEO
このチータ・ロボットは、4本足のロボットとしてはボストン・ダイナミック社のチータ に次ぐ速さである時速22キロを達成。ボストン・ダイナミック社のチータはこのほぼ2倍の速度で走るが、このチータ・ロボットはエネルギー効率の点ではそれにまさるという。
チータ・ロボットは油圧駆動ではなく、電子モーターを利用。三段階の永久磁石同期モーターを独自に開発して、高トルク密度を確保した。また、再生モーター・ドライバーも組み込み節電を図り、搭載した電池だけで走る。外部からの電気供給は不要だという。
ビデオでは、まるで本物のチータのように、速度が上がるとトロットからギャロップに切り替える様子が見られる。
IEEE Spectrumの関連ニュースはここ に。
2013/05/22
Categories:
ニュース •
ロボット研究
ロボハブが、ロボット界のキーパーソンに「ロボットのメインストリーム化を妨げているのは何か?」と尋ねた回答を掲載している 。その中から、いくつかをかいつまんで紹介しよう。どれも、思わずうなずくことばかり。
ブライアン・ガーキー(オープンソース・ロボティックス財団 CEO): 現在は、状態推定や知覚、経路計画などかなりの専門知識を持つ研究者でないと、ロボットのアプリケーションが開発できない。ソフトウェアを書ける人間はたくさんいるのに、そこがネックとなって役に立つロボットが作れない。プログラムのためのビルディング・ブロックがあれば、そのバリアは低くなるはずだ。また、ロボット業界は実用的な目的を見つけるのが病的なほどにヘタだ。問題解決に際して、その問題を抱えた人々が本当に望んでいるのは何かを見いだすことに集中しなければいけない。
マーク・ティルデン (ロボット開発者、BEAMロボティックスやロボサピエンを開発): パーソナル・ロボットの最大の壁は、コストと時間だ。ロボットはSFやハリウッド映画によって大いにプロモーションされているが、作るのは容易でなく、複雑性が増せばコストと時間は幾何級数的に増大する。従って、うまくいかない作品を途中で放棄して次に取りかかった場合、完成することから得られる進化的な発見やスキルが得られないばかりか、途中で放置したプロダクトは金がかかったために捨てるわけにもいかず、ずっと作り手を悩ませ続けるのだ。そこが、プログラムのコード、本、他のバーチャル・プロジェクトを手がけるのと違った点だ。ロボットがもっと安く作れるようになり、バーチャル・シミュレーションではなく現実世界で失敗を繰り返してわれわれに学習の機会を与えてくれるようにならないと、本当に役立つロボットは生まれない。
アラン・ウィンフィールド(西イングランド大学ブリストル校ロボティックス 教授): 何をもってメインストリームと呼ぶのかによるが、産業ロボットや海底油田のメンテナンスや監視のためのロボットは、すでにメインストリームになっている。惑星探索でも同様だし、テレビの漫画や映画などの文化面でもすっかりメインストリームになっている。だが、もちろん、ロボットがまだ人間の夢を満たしていないという心情は理解できる。大きな壁になっているのは、技術ではなく人間だ。たとえば、災害時の救援にはすでに遠隔操作のロボットが使われるのに、なぜ消防隊の標準装備にロボットが入っていないのか。それは、訓練や運営手続きというめんどうさから、消防署や消防隊がロボットをまだ受け入れようとしないからだ。もっと長期的な視点で見ると、メインストリームであるとはどういうことなのか。みながパーソナル・ロボットを持っていることだろうか、それとも車がすべて自律運転することだろうか。メインストリームと言っても、いいものばかりではないだろう。今の携帯電話のようにロボットがたくさんいる風景はちょっといやだ。何がメインストリームなのかはわからないが、確かなことは、サステイナブルで人間のためになり、そして生活の価値を高めてくれるようなロボットがメインストリームになって欲しいということだ。
2013/05/19
Categories:
ニュース •
ロボット研究
MITのセンサブルシティー・ラボ が開発したロボット・バーテンダーのビデオが、めっぽうカッコいい。ロボハブが伝えている 。
このロボット、メイカーシェイカー(Makr Shakr)は、クカ社のロボットアームを利用し、1台が飲み物をシェイクする間にもう1台がレモンやパセリなどの添え物を準備するというもの。先頃開かれたグーグルのアンドロイド開発者会議I/Oのパーティーでも出し物として登場した。下のビデオは、ミラノで公開された時のもの。
VIDEO
センサブルシティー・ラボは、もともとセンサー技術が物理的な都市空間をどう変えるかが研究課題。群衆とジャストインタイムのデジタル製造との関係なども守備範疇だ。メイカーシェイカーは、研究、アートインスタレーション、社会実験を兼ねて作られた。
バーやパーティーに集まる人々は、メイカーシェイカーの動きを見ながら、自分の注文が何番目か、今夜人気の飲み物は何かといったようなことが、スクリーンやスマートフォンでわかるらしい。
こんなロボットがあると、バーや飲み屋の風景もすっかり変わってしまうだろう。
2013/05/17
少し前の記事になるが、ボストン・グローブ紙にマサチューセッツ州のロボット産業の現状がレポートされていた 。
アイロボット 、リシンク・ロボティクス など同州に拠点を置くロボット会社に言及されているが、何でも、ここにはロボット会社が約100社あり、また大学などで35のロボット研究開発プログラムが進められているのだという。2011年にロボット産業に従事している従業員は3200人、同年のロボット産業における売上は20億ドルに達したという。
2012年10月には、マサチューセッツ州立大学ローウェル校にロボットのための実証実験センター (NERVE = New England Robotics Validation and Experimentation Center)がオープンしたという。ロボットの機能を実験するためのプールや砂場などが用意されており、ロボット会社の利用にもオープンだという。こうした場所が設けられたのは、同州のロボット開発の速度を上げることが目的だ。
マサチューセッツ州立大学ローウェル校に設けられたロボット実証実験施設Nerve Center
「イノベーションがまたイノベーションを呼ぶ。だから、マサチューセッツ州のロボット産業は盛り上がっているんです」と、アイロボット社CEOのコリン・アングルが語っている。
2013/05/17
Categories:
ニュース •
ロボット会社 •
ロボット研究
ドイツの産業ロボットメーカーのクカ(Kuka)社 が、同社の小型移動マニピュレータであるyouBot をベースにしたイノベーション賞への応募概要を発表した。1等の賞金は2万ユーロ(約265万円)。登録締め切りは6月15日だ。
youBotは、全方向移動が可能で、2本指のグリッパーがついた5自由度のマニピュレータが装備されている。Ubuntu LinuxとROSラッパーが搭載され、キネクトを始めとするセンサーのためのドライバーもある。
コンテストでは、youBotを最低1台利用していれば、他のロボットとの組み合わせもOK
このイノベーション賞は、移動マニピュレータにおける開発を促進すると共に、大学から産業への技術移転を後押しすることが目的で開かれるという。現実的な作業現場を想定しており、オリジナリティー、技術面ですぐに実現できること、経済的なインパクト、競争面での優位性などが評価の基準になるという。知的所有権は、応募者に帰属する。
youBotが身近にないなら、貸してくれる場合もあるようだ。世界中からの応募を歓迎するとのこと。
詳しい応募概要はここ に。『IEEE Spectrum』の告知記事はここ 。
2013/05/17
Categories:
ニュース •
ロボット研究 •
家庭用ロボット
MITの分散ロボティクスラボ が、家具を自律的に組み立てるロボットを開発した。5月半ばにドイツのカールスルーエで開かれたICRAでも展示されたもの。
VIDEO
このロボットは、クカ(KUKA)社製のYouBotsに特製のグリップハンドを付けたもの。グリップハンドは、2つの逆回転する歯車にゴムバンドを装着してネジが回転できるように考えられている。またソフトウェア面では、特定のCADを読み込み、部品の形状やネジ穴の位置を把握して、幾何学的推論システムやシンボリック・プラニングを駆使して組み合わせを考えるという。
研究者たちは、いずれもっと複雑な家具の組み立てもできるようにしたいと考えているという。これでIKEAの家具を組み立てる「頭痛」が軽減されるのなら、大歓迎。
『エクストリームテック』の関連記事はここ 。『IEEE Spectrum』の関連記事はここ 。
2013/05/15
Categories:
ニュース •
ロボット研究
ジョージア工科大学バイオメディカル・エンジニアリング学部 の研究者は、障害物の向こうにあるモノに手を伸ばして探り当てるロボット・アーム技術を開発した。
このアームは、コンピュータ・ビジョンとアーム全体に取り付けられた触覚センサーによって、障害物の間を通過する際には硬度を下げながら、目的に到達する。これまでの堅いアームでは、障害物に接触しないことが重要だったが、硬度を下げるアクチュエータと表面全体に付けられたセンサーによって、接触してもモノを倒したり、ダメージを与えたりしない。あらかじめ障害物の環境モデルを知っている必要もないという。
実際のアームを使った実験とシミュレーションの両方で、草むら、コンクリートブロック、部屋の散らかりなどの間を縫って目的物にリーチし、そうする間に障害物を曲げたり、脇によけたり、回転させたりしたという。
この技術がさらに進化すれば、障害物を乗り越えた救援や病人の介護に使えるようになると期待されている。下のビデオでは、狭いところに手を伸ばすアームの様子と、身体の不自由な人に優しい手で毛布をかける様子が見られる。
VIDEO
論文はここ 。ニューヨークタイムズの関連記事はここ 。
2013/05/12
Categories:
ニュース •
ロボット研究
プロジェクト実現のために一般の人々が資金を出すクラウドファンディングのサイト、キックスターター は、実験的ロボット誕生の場にもなっている。先頃ここでまたひとつ、バーテンダー・ロボットの開発プロジェクトが、予定額の1.5倍近い19万7464ドル(約1975万円)を集めた。
バーテンドロのプロトタイプ。中央が最新のもの(http://www.kickstarter.com/projects/partyrobotics/bartendro-a-cocktail-dispensing-robot?ref=liveより)
バーテンドロを利用すると、欲しいカクテルが正確な調合の下に10秒以内ででき上がるらしい。容積式ポンプには独自に開発したエレクトロニクスのボードを付け、それが厳密な量の飲料をくみ上げるモーターに接続されている。ボードのプロセサーには、Arduinoと同じものを使用しているという。
オープンソースのバーテンダー・ロボットとして、外部からの参加によって改良を加え、またドリンク・データベースも構築する予定だという。
バーテンドロを開発するのは、パーティー・ロボティクス社 。共同創設者の2人は、アイロボット社で経験を積んだロボット開発者と、音楽メタデータのオープン百科事典ミュージックブレインズ創設者のソフトウェア・アーキテクト。センサーなどの部品が高いため、自分たちでCNCミリングマシーンを買ってしまったほどだという。
彼らのキックスターター・サイトを見ると 、同様の技術を使ってパンケーキ・ロボット、ジュース・ロボット、水族館の栄養補給ロボット、ビールやワインの醸造、新しい食べ物の創造ロボットが考えられるとのこと。夢は大きい!
2013/05/10
Categories:
ニュース •
ロボット研究
メリーランド大学のロボティックス・センター の研究者たちが、鳥のように空を羽ばたくロボット「Robo Raven」、直訳してカラス・ロボットを公開した。このカラス・ロボットはただ飛び上がるだけでなく、斜めに飛んだり翻ったり、低空飛行へダイブしたりする。まるで本当の鳥を見ているようだ。
VIDEO
カラス・ロボットの研究はすでに8年前から始めていたものの、うまく飛行させることができず、途中で棚上げされていた。それが1年前に再スタート。今度は、両翼を別々のアクチュエーターで動かすことによって、本物の鳥のような飛行が可能になったという。
筆頭研究者のSKグプタ教授によると 、アクチュエーターとバッテリー,マイクロコントローラーで重くなった重量を減らすために、3Dプリンティングやレーザーカッターを利用して軽量ポリマー素材を工作した。さらに、翼の動きが上昇の際にもバランスを保ちながら最高速度を生み出すようプログラムし、翼が羽ばたいている間にリアルタイムで動的空気力を計測する方法を編み出した。これによって、さまざまな翼のかたちを評価することができたという。そして、すべての部品が統合システムのように機能するよう、システムレベルでの最適化の実現にも務めたという。
上記のビデオでは、1分50秒時点でタカが襲撃しにやってくるのが見える。それほど「本物」に近いという証だろう。
関連記事は、ここ にも。