カテゴリー: ロボット研究
2013/09/13
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ロボット研究
「スミマセ〜ン。ちょっとそこの棒を取って下さい」。
そんな風に、人間に助けを求めるロボットを『IEEEスペクトラム』が紹介している 。
これは、MIT(マサチューセッツ工科大学)で開発されているIKEAの家具を組み立てるロボット。以前ロボニュースでも紹介した ことがあるが、クカ社のユーボットを利用したものだ。
そのロボットに逆意味アルゴリズム(inverse semantic algorithm)を統合すると、解決できない問題や間違いを認識し、それを解決するために何が必要かをはじき出して、人間がとれる行動に翻訳して助けを求める。あらかじめプログラムされているわけではなく、あくまでもアルゴリズムが動作するので、新しい状況にも対応するという。
ビデオを見ると、ロボットが「ちょっとすみません」とか、「白い板を裏返して下さい」、「ありがとうございます。あとは大丈夫です」などと言っている。そのさまがおかしくて噴き出してしまいそうになる。
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だが、ここでは人間としっかりコミュニケーションができるように、ロボットは直面している問題のコンテクストに合った方法で、自然言語で名詞、動詞を用いて発言し、的を得た、クリアーで簡潔な表現で助けを求められるようにしているという。たとえば、「黒いテーブルの上に載っている白い棒を、青色のロボットに渡して下さい」といったような具合だ。実に具体的に言うのである。
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2013/08/27
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ロボット研究
ご存知の方も多いと思うが、ここ最近のロボット界の大ニュースは、ウィロー・ガレージのほとんどのスタッフがスータブル・テクノロジーズ社に吸収されることになった というもの。
もともと、スータブル社 こそ、ウィロー・ガレージのスピンアウトのひとつだったのだが、母体がスピンアウトに吸収されるというわけだ。スータブル社は、テレプレゼンス・ロボット「ビーム(Beam)」を開発している。
ウィロー・ガレージを創設し、スータブルのCEOも務めているスコット・ハッサン が『IEEEスペクトラム』でインタビューに答えて、今回の吸収の背景を語っている 。その内容を紹介しよう。
スータブル・テクノロジー社のサイトより
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2013/08/18
ホワイトハウスでは、『We the Geeks 』というビデオ・シリーズを放映している。「オレたちは、ギーク(テクノロジーオタク)だぜ」とでもいう意味で、ホワイトハウス内のテクノロジーおよび科学政策に関するオフィスが主催し、複数の人々が参加できるテレビ会議システム、グーグルプラス・ハングアウトを使って、いろいろなテーマで専門家が話し合うというしくみだ。
これまで取り上げられたテーマはなかなかに興味深いものばかりで、「小惑星」「21世紀的な履歴書とは」「社会貢献におけるイノベーション」「スーパーヒーローのための新素材」などがある。
8月初頭に開かれたのは「ロボット」論議。同オフィスのヴィージェイ・クマー氏(ロボティクスおよびサイバーフィジカル・システムズ部門アシスタント・ディレクター)とトム・カリル氏(テクノロジーおよびイノベーションの次席ディレクター)がモデレーターとなって、以下の人々が参加した。
・ロドニー・ブルックス(リシンク・ロボティクス 会長)
・ダニエラ・ラス(MITコンピュータ科学およびAIラボ(CSAIL) のディレクター)
・マシュー・メイソン(カーネギーメロン大学(CMU)ロボティクス・インスティテュート のディレクター)
・ロビン・マーフィー(テキサスA&M大学ロボット支援による捜索および救援センター のディレクター)
・アリソン・オカムラ(スタンフォード大学コラボラティブ・ハプティクスおよびロボティクス医療ラボ の主席研究員)
・ジョン・グリーン (小説家、ビデオ・ブロガー)
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50分足らずの話し合い中、STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学教育)に関する話題も多かったが、その他にもおもしろかった発言を以下にいくつか挙げておこう:
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2013/08/17
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ロボット研究
ミシガン州立大学エンジニアリング学部 のロボット研究者たちが開発した「テイルボット(TailBot)」は、尻尾を動きのコントロールに用いる超小型ロボットである。
開発のきっかけになったのは、自然界で昆虫などの生物が動きの方法のひとつとして尻尾を利用しているという事実。そのしくみを、高さ7.5センチ、重さ26.5グラムのテイルボットにも応用しようと考えた。
テイルボットは走る,跳躍する、空中での向きをコントロールするという3つの動きが可能。動力、センサー、コントロール、ワイアレス通信機能も、この小さなボディに統合されており、自律的に動くことができる。階段や壁に上りながら、人が入り込めない難しい場所へ侵入していくさまが想像できる。
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この研究は、11月東京での知能ロボットとシステムに関する国際会議(IROS )で発表される模様。プレスリリースはここ 。
2013/08/17
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ロボット研究
ピッツバーグのディズニー・リサーチ が、ロボットやインタラクティブなキャラクターおもちゃに使える表情豊かな目を開発した。この目は、光学ファイバーを盛り込んで3Dプリントされたもので、表面に画像を映し出すことができる。
ディズニー・リサーチでは、すでに光学要素を3Dプリンティングに盛り込む技術 が開発されており、「パピロン」というこの目のプロジェクトもこれを用いている。それによって、従来のアニマトロニクス的な方法よりも、アニメのキャラクターっぽい非現実的、誇張表現的な目が実現できるという。
ビデオでは、居眠りする「ZZZZZ…」や「♡(ハート型)」が目に浮かび上がる。目のサイズも小さくできるのが特徴で、ここに登場するキャラクターはすべてソフトボールほどの大きさという。小さなかわいいキャラクターが目の表情いっぱいに訴えかけてきたら、すぐにコロリと参ってしまうかも、である。
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プレスリリースはここ 。
2013/08/16
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ロボット研究
ロボットの情報サイト「ロボハブ 」では、専門家たちに興味深い質問を投げかける記事を定期的に上げている。今回は、「ロボットには頭が必要か?」という内容 。
まず、記事の冒頭文が面白い。これ自体、アメリカのロボットが日本のヒューマノイド・ロボット文化とはかけ離れていることを示しているからだ。
「ロボットは機械。そして、ほとんどの人々がロボットの存在意義は実用性だと考えている。」
さて、専門家の意見は以下の通り:
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2013/07/28
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軍事用ロボット
こんな面白い動きをするロボットは見たことがない。ピョンピョン跳ねたり、隙間を飛び越えたり、壁に飛び乗ったり、裏返しになったり……。
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『IEEEスペクトラム』によると 、このロボットは、ペンシルバニア大学のKod*lab (コッドラボ)で開発されている「Rhex(レックス)」。
ロボットでは、車輪よりも足の方がデコボコの地面を移動するのに有利だが、足はそれぞれの可動要素のインストラクションが複雑になる。そこでこんな足になった。
一番難しかったのは、隙間を飛び越えるという動き(ビデオでは2:09時点)だったという。後ろに下がって勢いをつけるよりも、なるべくせり出して飛んだ方が、真ん中の足のトルクが2回目のバウンスで効き目を発揮して、うまく飛べたのだという。ビデオでこのジャンプを見ると、まるで本能的に動いている動物のようだ。
レックスは、これから砂漠などでも実験を行う予定。人間が踏み込めない危険地域へ侵入するロボットとして想定されているという。
ところで、こうした動きはパルクールと呼ばれるのだそう。パルクールとは、軍隊の訓練などで、障害物を乗り越えつつ、効率的に前進していくための無駄のない運動のこと。レックスもその動きにヒントを得たという。
そのパルクールを調べていたら、下のようなビデオが見つかった。こんなスパイダーマンのようなことができる生身の人々がいるとは……。こちらもロボット並み。
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2013/07/13
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ロボット研究
『ロボハブ』によると 、先月ISSの宇宙飛行士が地上のK10ローバーを遠隔から操作するのに成功したという。
ISSからの操作によって、NASAエイムズ・リサーチセンター敷地内で動くローバー(Robohubより)
この実験は、NASAの「地表テレロボティクス 」というプログラムの一環で、今年夏の間を使って行われるもの。通信の遅れを最小限に留めながら、ISSで宇宙を飛行する飛行士が、月面や火星面に置かれたローバーを遠隔で操作する際の課題や用途、技術上の問題を特定することが目的だ。
また、技術上の問題点の洗い出しだけではなく、人間とロボットが協力して宇宙探索に乗り出す際に、ISSのワークベンチから操作する飛行士の作業負荷やどの程度の状況判断が行えるかといったことも観察される予定だという。
危険作業を人間に代わってロボットが行えるようになれば、リスクは大きく減らせるのは、地球も宇宙も同じ。ロボット技術は、両方の世界で同時に進展している。
2013/07/13
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ロボット研究
単純な繰り返し作業を行う産業ロボットとして注目されているバクスターは、研究用にも提供されている。研究用バクスター は通常2万2000ドルで販売されているが、先頃OSRF(オープンソース・ロボティクス財団)が、メーカーのリシンク・ロボティクス社からバクスターを1台贈られたようだ。OSEFのスタッフが、そのプレゼントの木箱を開ける様子がビデオに収められている。
研究用バクスターは、コアになっているソフトウェア・システムは触れられないが、その上の開発用SDKレイヤーはROS(ロボットOS)に基づいていてオープンになっている。ここで外部の研究者や開発者たちに、おもしろいアプリケーションを生み出してもらおうというわけだ。
すでにアメリカの数大学の研究室でバクスターが用いられているらしく、『IEEEスペクトラム』誌によると 、周辺のモノを3Dで捉えてデータを蓄積させたり、ヒューマン・インタラククションの研究に使われたりしているようだ。リシンク・ロボティクス社の説明には、「深夜の研究のお伴にぴったり。しかも夜食のピザを食べなくても働きます」と書かれている。
新たな研究からどんなアプリケーションが出てくるのかも興味深いが、ロボット・メーカーが自社のハードウェア上で動くソフトの部分で、外部研究が入り込む余地を設けておくというモデルも面白い。アンドロイドOSのスマートフォンのように、アプリを開発するディベロッパーたちが続々と出てくる時が来るかもしれない。
2013/07/13
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ロボット研究 •
軍事用ロボット
DARPA(国防総省高等研究開発局)が今年末に開催するロボティクス・チャレンジ(DRC)のトライアル戦の詳しい概要が発表された 。
このトライアル線は、来年末のファイナル戦に備えて行われるもので、フロリダ州のマイアミの屋外自動車レース場「ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ 」で、12月20〜21日に開かれる予定だ。
DRCトライアル戦の会場イメージ(DARPAサイトより)
チャレンジでは、ロボットが車に乗り込んで運転する、デコボコの地面上を歩く、ドアを開く、バルブを回すといった8つのタスクを行い、それぞれの自律性、認知力、判断力、巧みさといった観点から評価が行われる。これらのタスクは、福島第一原発事故のような緊急時に、人間に代わって現場で作業するロボットの開発を推進するという、DRCの目的に沿ったものだ。
この概要書には、現場で建設される走行トラックや、デコボコの地面、入り口を塞ぐ障害物、産業用はしごの形状などが図解されており、各チームがロボットに練習させるのに役立てることができる。現場では、同じタスクを同時にテストできるように、一部複数のテストユニットも作られるようだ。
一般公開もされるというこのトライアル戦。ロボットたちがどう挑戦するのか、楽しみである。