カテゴリー: ロボット研究

トラックDチームもそろい、DARPAロボティクス・チャレンジが準備万端

12月20〜21日にマイアミで開かれるDARPAロボティクス・チャレンジは、一般にも無料で公開されるイベントとなる。そのためか、同チャレンジのサイトが最近一新されたようだ。挑戦するチームタスクなどが、非常にわかりやすくなっている。

これまで決まっていなかったトラックDのチームも公開されている。トラックDは、DARPAからの研究補助金を受けず、自前のハードウェア(ロボット)とソフトウェアを開発して応募した。4チームが選ばれた模様で、これで合計17チームが参加する。

Robot - Chiron

トラックDで選ばれたチームのひとつ、カイロス・オートノミのロボット「チャイロン」

会場では、ロボットの関連技術や被災地の救援技術などを解説した展示も行われ、またボストン・ロボティクス社のアトラスとの記念撮影ができる抽選もあるらしい。

グーグルが日本のシャフト社を買収していた! ロボット・スタートアップを一気に7社も

ロボット業界の大ニュース。グーグルがロボット事業に乗り出し、日本のロボット開発会社シャフトを含むスタートアップ7社を買収したという。『ニューヨークタイムズ』が報じている

シャフトは、東京大学情報理工学系研究科の情報システム工学研究所(JSK)からスピンアウトし、2012年に創設された会社。

シャフト社のホームページ(http://schaft-inc.jp/より)

シャフト社のホームページ(http://schaft-inc.jp/より)

同社は、今月末に予選が開かれるDARPAのロボティクス・チャレンジにも出場する予定で、すでに有望視されているが、この買収によってその賞金200万ドルを大きく上回る資金を受けることだろう。日本のロボット界にとっては、大きな刺激となるできごとだ。

自走車を開発してきたグーグルがロボットに進出するのは、ごく自然な動きとも言えるが、同社は他にもロボット会社を一気に買収したようだ。しかも、買収は秘密裏に過去半年ほどの間に次々と行ってきたという。記事は、その投資額の大きさから、消費者向けロボットではなく、製造用、ロジスティクス用のロボットが狙いではないかと見ている。

同社が買収したのは、以下7社:

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DARPAロボティクス・チャレンジでロボットたちが運転するのは、この車

『ビジネス・オブ・ロボティクス』によると、12月20〜21日にマイアミで開かれるDARPAロボティクス・チャレンジに利用される車が明らかになった。ポラリス社のレンジャー「XP 900 EPS」のカスタマイズ版という。

ポラリス社は、レクリエーション、パワースポーツ、警備、インフラ整備、軍事などに用いる車両の開発・製造会社。本社はミネソタ州ミネアポリスにある。

ロボティクス・チャレンジ用にカスタマイズされたXP 900 EPS(http://www.motorcycle-usa.com/より)

ロボティクス・チャレンジ用にカスタマイズされたXP 900 EPS(http://www.motorcycle-usa.com/より)

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コンピュータ・ビジョンをますます賢くするためのデータベース

カーネギー・メロン大学のロボティックス研究所では、常時ウェブをサーチし続けて、莫大な規模のビジュアル・データベースを構築しようとしているという。『カーツワイルAI・ネット』が伝えている

サーチを続けるこのプログラムは、ネバーエンディング・イメージ・ラーナー(NEIL)と呼ばれている。訳すと「永遠画像学習プログラム」というところだろうか。このプログラム自体が、現在の先進的なコンピュータ・ビジョン技術を用いて画像の中のモノを認識し、色や光、素材などその背景や特徴を学習する。

これをずっと続けていくことで、モノだけではなく、そのモノの置かれた状況をビジュアルに判断できるような能力を持つようになる。たとえば、「車はよく道路上にいる」とか「ヘリコプターは飛行場にあることが多い」といったようなことだ。つまり、「常識」を獲得するのだ。

同研究室では、今年7月末から300万の画像を分析して50万の画像から1500種類のモノを認識し、数10万の画像から1200種類の背景を認識したという。徐々にサブカテゴリーを作り、ここから「車には車輪が付いている」といったような関係性を推定できるようにするという。

NEILで「行列」という画像の特徴を呼び出したところ(http://www.neil-kb.com/より)

NEILで「行列」という画像の特徴を呼び出したところ(http://www.neil-kb.com/より)

このプログラムの目的は、構造化されたビジュアルのナレージベースをつくることだという。用途は、もちろんロボットを含め機械認識が必要になるすべての状況を考えているという。

研究のサイトでは、モノ、背景、特徴などで画像を呼び出すことができるが、なかなかの驚きがある。またNEILを訓練するために、学習してほしいコンセプトを入力することもできる。ぜひ試されたい。

DARPAロボティクス・チャレンジに向けて、アトラス猛練習中

DARPA(国防高等研究計画局)が主催するロボティクス・チャレンジ(DRC)の予選開催まで、いよいよ1ヶ月を切った。

自前のロボットを持ち込むトラックAおよびトラックDのチームと、これまでソフトウェアを開発し、チャレンジではボストン・ダイナミクス社が開発したヒューマノイド・ロボット、アトラスを使って挑戦するトラックBとトラックCのチームが勢揃いする。トラックDチームの数が不明だが、トラックA、B、Cだけでも13チームある。

『IEEEスペクトラム』がそのうち、IHMCロッキード・マーティン社のアトラスの練習風景を載せている

IHMCはバーチャル・チャレンジ(VRC)で最高点を獲得したチーム。デコボコした地面を歩く練習をしている様子がわかる。

ロッキード・マーティン社は、VRCでは勝ち抜くことができなかったが、NASA ジェット推進研究所(JPL)がトラックAの同研究所チームと合体することになったため、アトラスを譲り受けることになった。同社は、ペンシルバニア大学、ニューヨーク州のレンセラー工科大学と組んで、チーム・トルーパー(Team Trooper)として参加する。ビデオは、どちらかというとプロモーション系。

トラックA各チームのロボット紹介ビデオはここに。

この他にもアトラス関係のビデオを見つけたので、下に上げておこう。

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MITセンサブル・シティー・ラボの視点によると、ドローンは道案内役

道に迷った時に、あなたならどうするだろうか。通りかかる人に尋ねるだろうか、それともスマートフォンを取り出して、グーグルマップを開くだろうか。

都市でのテクノロジーの応用方法を探るMITのセンサブル・シティー・ラボの場合は、ドローンを呼び出すようだ。

このおしゃれなビデオによると、特製アプリの「スカイコール」で「呼び出し」ボタンを押すと、間もなくしてドローンが頭上に登場。そこで行き先のキャンパスの部屋の数字を押すと、ドローンが先導して部屋まで連れて行ってくれる。その間、まわりの建物や研究室についても説明を加えてくれるようだ。

確かにこういう使い方があるなあと思わせる。ドローンは、監視用、農業の作物モニター用などの用途がいろいろ競われているが、こんな親切なドローンもありだろう。東京オリンピックの「お・も・て・な・し」用に、ひとつ開発してはいかがだろうか。

スタンフォード大学+UCバークレーのロボット・シンポジウム全記録が見られる。アンキドライブの生産現場も公開

さる10月11日に、カリフォルニア大学バークレー校で、同大学とスタンフォード大学のロボット研究者を中心にしたシンポジウムが開かれた。残念ながら、ロボニュースは取材に行けなかったが、その全記録ビデオがサイトに載っている

ロボット開発に重要な技術研究の発表と並んで、すでにロボット製品を出している新興企業のプレゼンテーションもある。時間があれば、ぜひ見ていただきたい。セッションは4部に分かれているが、このプログラムのページから各スピーカーのプレゼンテーションに直接アクセスできるようになっている。

ロボニュースでは、最近話題になっている新興企業アンキ社(Anki)とレッドウッド・ロボティクス社のプレゼンテーションを見てみた。アンキ社は新しいタイプのゲームカーのメーカー、またレッドウッド・ロボティクス社はSRIウィロー・ガレージメカ・ロボティクス社の合資で生まれ、ロボットアームを開発中とされているが詳細がまだ隠されている企業である。

アンキ社のアンキドライブ。ビデオゲームが飛び出してきたような興奮が味わえる

アンキ社のアンキドライブ。ビデオゲームが飛び出してきたような興奮が味わえる

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『ロボビジネス2013』会議レポート<その3> 基調講演から、重要ポイントを抽出

ロボビジネス2013』の基調講演は、業界の現状、課題などを知る上で有益な内容が豊富にあった。その中から、いくつかのポイントを紹介しよう。

『われわれは誰だ、これからどこへ向かうのか(What Are We? Where are We Going?)』と題した講演で、調査会社ミリアのダン・キャラ氏は、産業ロボット、サービス・ロボットのいくつかの分野での現状を分析した。

産業ロボットでの市場は現在260億ドルで、年間の出荷ユニット数は16億。これに対して、消費者向けロボット市場は12億とまだ小さい。しかも家庭用ロボットでの成長はほとんど見られず、ビジネスモデル上の問題があるのではないかと言う。この領域で最も大きな売上を持つのはアイロボット社で、これまでお掃除ロボットのルーンバを1億台売った。技術、マーケティングの点で必要とされるロボットを作った会社が成功し、また業界全体に大きな飛躍をもたらすことになる。

同氏がロボット市場を分類した次のスライドは多いに参考になる。

ロボット市場の分類図(Myria RAS)

ロボット市場の分類図(Myria RAS)

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アンバウンデッド・ロボティクス社のUBR-1は、ロボット開発を変えるか

話題のロボットUBR-1について、『IEEEスペクトラム』誌が開発者のインタビューを掲載している。UBR-1は、ウィロー・ガレージの最後のスピンオフであるアンバウンデッド・ロボティクス社(創設2013年1月)が先頃発表したもの。インタビューには、同社のメロニー・ワイズ(CEO)、マイケル・ファーガソン(CTO)、デレク・キング(主任システムズ・エンジニア)、エリック・ディーア(主任機械エンジニア)が答えている。その抄訳をお届けしよう。

アンバウンデッド・ロボティクス社の4人の共同創設者。左前から時計回りに、メロニー・ワイズ(CEO)、マイケル・ファーガソン(CTO)、デレク・キング(主任システムズ・エンジニア)、エリック・ディーア(主任機械エンジニア)(http://spectrum.ieee.org/より)

アンバウンデッド・ロボティクス社の4人の共同創設者。左前から時計回りに、メロニー・ワイズ(CEO)、マイケル・ファーガソン(CTO)、デレク・キング(主任システムズ・エンジニア)、エリック・ディーア(主任機械エンジニア)(http://spectrum.ieee.org/より)

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ジョージア工科大学にヒューマノイド・ロボットが勢揃い

今週10月15〜17日まで、『ヒューマノイド2013』会議がアトランタのジョージア工科大学で開催されたが、そこで公開されたロボットが、同大学のサイトで紹介されている。写真を見ると、同大学のロボットの他、NAOやバクスターも来ていたようだ。

それ以外に興味を引かれるのは、「ソシボット」。極小のピコ・プロジェクション技術によって顔の表情を自在に設定できるものだ。男、女など多様な顔のタイプを顔面に映し出すことができ、目は人の動きを追う。それだけではなく、相手の性別や年齢、表情を見分け、それに合わせてあらかじめプログラムされた動作を遂行する。

さまざまな顔をプロジェクションで表現できるソシボット。(www.news.gatech.eduより)

さまざまな顔をプロジェクションで表現できるソシボット(www.news.gatech.eduより)

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