カテゴリー: ロボット会社

ヨーロッパ版ロボティクス・チャレンジは、来週開催!

DARPA(国防高等研究計画局)が開催するロボティクス・チャレンジは、福島原発事故に刺激を受けて計画されたが、ヨーロッパでも同じように福島原発事故をきっかけに開催されるロボット競技会がある。ユーラスロン(EURATHLON)がそれだ。主催は欧州委員会。

ユーラスロンのサイトより(http://www.eurathlon2013.eu/)

9月23〜27日にドイツのベルヒテスガーデンで開かれるユーラスロンには、ヨーロッパとロシアから14チームが参加する予定。ロボットに課されたタスクは以下だ:

・都市構造の調査と監視

・危険物取り扱いの移動型操作

・煙が充満した地下構造内での捜索および救援

・GPS、GLONASS、GALILEOを利用した自動ナビゲーション

・爆弾装置の調査と廃棄

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デンマークのユニバーサル・ロボッツ社、アメリカへ支社

Categories: ロボット会社

デンマークの軽量ロボットアームのメーカー、ユニバーサル・ロボッツ社がアメリカに本格的に進出する。

同社はこれまでも子会社を通して製品を提供してきたが、今後はニューヨークのロングアイランドに支店を構え、そこでロボットの組み立ても行うという。研究開発は、これまで通り本国で行われる。

ユニバーサル・ロボット社の製品のひとつUR5 Double

ユニバーサル・ロボット社の製品のひとつUR5 Double

ユニバーサル・ロボッツ社は、創業2005年。同社の製品は、機械工場や製造現場で用いられてきた。モニターやタブレットから操作可能で、生産ラインに合うようにプログラムもできる。アメリカを含め、すでに世界40カ国に輸出されているという。

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現代のおもちゃロボットは、子供たちに考える力を与える

ウォールストリート・ジャーナルが、最近のおもちゃロボットをいくつか紹介している

取り上げられているのは、レゴマインドストロームE3、ロボニュースでも紹介したロモーティブのロモ、そしてオーボティックス・スフェロ2.0、そしてそんなおもちゃの部品になるリトルビッツだ。

スマートフォンを載せたロモ。小型のモバイル兼テレプレゼンス・ロボット。

スマートフォンを載せたロモ。小型のモバイル兼テレプレゼンス・ロボット。

ものづくりの好きな子供たちにとって、最近のおもちゃは格段と高度になった。スマートフォンが利用できたり、プログラムが可能だったり、またモーターやプロセサーが非常に安くなったおかげだ。子供たちも手を動かしながら学べるこの時代は、おもちゃの黄金時代だと、記事は興奮気味。

スフェロは、秒速7フィート(2.1メートル)で走る球体。直角に曲がったり、回転させたりもできる。

スフェロは、秒速7フィート(2.1メートル)で走る球体。直角に曲がったり、回転させたりもできる。

こうしたおもちゃロボットは、8歳の子供でも遊べるほどのシンプルさがありながら、かなり専門的な技術も盛り込まれていて、ロボット開発者やプログラマーを刺激するものだという。

リトルビッツのキットの一例

リトルビッツのキットの一例

ウィロー・ガレージとスータブルのこれからはどうなるのか?

ご存知の方も多いと思うが、ここ最近のロボット界の大ニュースは、ウィロー・ガレージのほとんどのスタッフがスータブル・テクノロジーズ社に吸収されることになったというもの。

もともと、スータブル社こそ、ウィロー・ガレージのスピンアウトのひとつだったのだが、母体がスピンアウトに吸収されるというわけだ。スータブル社は、テレプレゼンス・ロボット「ビーム(Beam)」を開発している。

ウィロー・ガレージを創設し、スータブルのCEOも務めているスコット・ハッサンが『IEEEスペクトラム』でインタビューに答えて、今回の吸収の背景を語っている。その内容を紹介しよう。

スータブル・テクノロジー社のサイトより

スータブル・テクノロジー社のサイトより

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往年の(?)人気者、ファービーがカムバックを狙う

1990年代末に一世を風靡したハスブロ社製ペット・ロボット、ファービーが、シャワーを浴びたり卵を産んだりするという、新たな装いでカムバックを計画中だ。『エンドガジェット』が伝えている

とは言え、自分でシャワー室へ歩いて行くわけではない。タブレットやスマートフォン上のアプリと連動して、シャワーを喜んだり、トイレへ行ったりするというしくみだ。シャワーの温度が高すぎると、文句も言う。トイレの後は、ちゃんと水を流さなければならない。

他にもいろいろ「手間のかかる」しかけが盛り込まれ、汚れてきたりお腹がすいたりすると、持ち主に対処を要求する。持ち主はお世話で忙しくなるというわけだが、ちゃんとお世話をしていると、そのうち卵を産んでくれる。なかなかに凝ったつくりである。

ファービーが卵を産むならば、日本のタマゴッチだって新たに生まれ変われるかも?

ホワイトハウスの『オレたちはギークだぜ』シリーズで、ロボット論議

ホワイトハウスでは、『We the Geeks』というビデオ・シリーズを放映している。「オレたちは、ギーク(テクノロジーオタク)だぜ」とでもいう意味で、ホワイトハウス内のテクノロジーおよび科学政策に関するオフィスが主催し、複数の人々が参加できるテレビ会議システム、グーグルプラス・ハングアウトを使って、いろいろなテーマで専門家が話し合うというしくみだ。

これまで取り上げられたテーマはなかなかに興味深いものばかりで、「小惑星」「21世紀的な履歴書とは」「社会貢献におけるイノベーション」「スーパーヒーローのための新素材」などがある。

8月初頭に開かれたのは「ロボット」論議。同オフィスのヴィージェイ・クマー氏(ロボティクスおよびサイバーフィジカル・システムズ部門アシスタント・ディレクター)とトム・カリル氏(テクノロジーおよびイノベーションの次席ディレクター)がモデレーターとなって、以下の人々が参加した。

・ロドニー・ブルックス(リシンク・ロボティクス会長)

・ダニエラ・ラス(MITコンピュータ科学およびAIラボ(CSAIL)のディレクター)

・マシュー・メイソン(カーネギーメロン大学(CMU)ロボティクス・インスティテュートのディレクター)

・ロビン・マーフィー(テキサスA&M大学ロボット支援による捜索および救援センターのディレクター)

・アリソン・オカムラ(スタンフォード大学コラボラティブ・ハプティクスおよびロボティクス医療ラボの主席研究員)

ジョン・グリーン(小説家、ビデオ・ブロガー)

50分足らずの話し合い中、STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学教育)に関する話題も多かったが、その他にもおもしろかった発言を以下にいくつか挙げておこう:

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採血ロボットの登場

シリコンバレーのスタートアップが、人の腕から採血できるロボットを開発中という。『IEEEスペクトラム』が伝えている

この会社ヴィーボットは、特に毎時間10数人ペースで採血作業をする臨床試験現場や研究の場での利用を想定して、このロボットを考案した。腕を固定すると、カメラが捉えた画像と解剖学モデルを照合して目標の血管を特定した後、超音波で血流の強さを確認。その後、ロボットアームが向きを調整して採血針を差し込む。ここまで約1分でできるという。人間がやるのは、試験管を付け替えるだけだ。

現在のところ、ヴィーボット社のロボットは83%の確率で最適な血管を特定でき、これは人間のテクニシャンと同程度。同社はこの数字を90%まで向上させ、安全性と労力の面で人間に置き換わるロボットとして完成させたいという。

アメリカだけでも、採血作業は年間10億回も行われ、これだけで90億ドルの市場。静脈注射は2億5000万回も行われているという。人々がロボット採血を気味悪がらなければ、大きな可能性のあるロボット市場だ。

ロボットのベンチャー・キャピタリスト、ディミトリ・グリシン氏

ボストンやシリコンバレーでも、ベンチャー・キャピタリストがロボット分野に注目し始めているが、ロボットだけに特化して投資を行うベンチャー・キャピタリストがいる。ロシア人のディミトリ・グリシン氏だ。

グリシン氏は、ロシアのインターネット会社Mail.Ruの共同創設者で、現在CEO。ベンチャー・キャピタル会社のグリシン・ロボティクス社は、個人資産2500万ドルを元にして、起業されたばかりの会社にシード投資をする。パーソナル・ロボットが中心だ。

ディミトリ・グリシン氏(photo: Mail.Ru)

ディミトリ・グリシン氏(photo: Mail.Ru)

そのグリシン氏が、『ウォールストリート・ジャーナル』でインタビューに答えている

同氏は、ロボットがいる未来小説が本当のことになるのは予想以上に早く、今こそ、アイデアをビジネスにすべきだと言う。ハードウェア部品のコストも低くなり、3Dプリンターで安くプロトタイプを作ることもできるからだ。初期の投資額も50万ドル以下で済み、これはクリーン・テクノロジー業界などの新興企業への投資よりは、ずっと少ない額だという。

同氏が現在投資しているのは、以下の5社:

ナノサティスファイ社: 極小衛星を製造

ロボッツアップス社: ロボットのためのアップ・ストアー

ダブル・ロボティクス社: iPadを利用したテレプレゼンス・ロボットを開発

スヴィヴル社: 被写体に合わせて動くビデオ・キャプチャ技術

ボルトio: ボストンのハードウェア・インキュベーター

同氏は、ロボット革命の中心地となるのはシリコンバレーだと予測している。その理由は、デザインの伝統があること、メーカー・ムーブメントに見られるようにモノ作りをする人々が多くいること、他国から移住するイノベーターのあこがれの地であることなどだ。

同氏のところには、投資依頼がたくさん来るが、アメリカを別にすると、ヨーロッパ(特にロンドン)や中国が多いという。日本はもっとリードすると思っていたが、本物のビジネスにするよりは、ヒューマノイドを作ることの方に関心があるよう、と見ているようだ。

「これだ!」というビジネス・アイデアのある日本のロボット開発者は、どんどんグリシン氏にコンタクトを取っていただきたいものだ。

人を感じさせるロボットは、「暗黙知」を誘い出す。 RP-VITAを訪ねて<その2> UCLAメディカルセンター脳外科ICU取材

何事も現場を見ずには本当のことはわからないものだが、今回のUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)メディカルセンターほど、「見に来てよかった」と訪問中に何度も痛感したのも珍しい。

ここへ見に来たのは、医療用テレプレゼンス・ロボットのRP-VITAである。インタッチ・ヘルス社アイロボット社と共同開発したもので、医師が遠隔地にいても患者の様子を診断でき、可動型なので病院内を動き回り、自律走行もできるというロボットだ。

ロボニュースは、これに先立ってインタッチ・ヘルス社CEOのユーラン・ワング氏にもインタビューをして(RP-VITAを訪ねて<その1>)、このロボットの狙いを学んだつもりだったが、それでも現場に来なければわからないことがたくさんあったのだ。

UCLAメディカルセンター内部を移動するRP-VITA

UCLAメディカルセンター内部を移動するRP-VITA

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プレゼントの箱からバクスターを取り出す

単純な繰り返し作業を行う産業ロボットとして注目されているバクスターは、研究用にも提供されている。研究用バクスターは通常2万2000ドルで販売されているが、先頃OSRF(オープンソース・ロボティクス財団)が、メーカーのリシンク・ロボティクス社からバクスターを1台贈られたようだ。OSEFのスタッフが、そのプレゼントの木箱を開ける様子がビデオに収められている。

研究用バクスターは、コアになっているソフトウェア・システムは触れられないが、その上の開発用SDKレイヤーはROS(ロボットOS)に基づいていてオープンになっている。ここで外部の研究者や開発者たちに、おもしろいアプリケーションを生み出してもらおうというわけだ。

すでにアメリカの数大学の研究室でバクスターが用いられているらしく、『IEEEスペクトラム』誌によると、周辺のモノを3Dで捉えてデータを蓄積させたり、ヒューマン・インタラククションの研究に使われたりしているようだ。リシンク・ロボティクス社の説明には、「深夜の研究のお伴にぴったり。しかも夜食のピザを食べなくても働きます」と書かれている。

新たな研究からどんなアプリケーションが出てくるのかも興味深いが、ロボット・メーカーが自社のハードウェア上で動くソフトの部分で、外部研究が入り込む余地を設けておくというモデルも面白い。アンドロイドOSのスマートフォンのように、アプリを開発するディベロッパーたちが続々と出てくる時が来るかもしれない。


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