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現代重工業が開発した、重さ15キロの溶接ロボット

韓国の現代重工業が、造船用の小型溶接ロボットを開発したという。

アームが折り畳まれた状態でのサイズは50x50x15センチで、人間が入り込めない狭いところでも作業ができる。またジョイントは6つあり、作業員が行うほとんどの仕事を同程度の時間で遂行できるという。

ソフトウェア次第で鉄鋼の切断、蒸気噴出、塗料の塗布などにも応用可能。15キロと軽量なため、磁石で鋼材の天井や壁面に付着させることも可能。

Robot - Hyundai

プレスリリースはここに。

ロボットに礼儀を教えるディズニー・リサーチの研究

カテゴリー: ニュース, ロボット研究

ロボットの動きはぎこちなくて荒っぽい。そんなロボットでは、とても人間と一緒には生活できない。そうしたロボットの振る舞いを改良することに、ディズニー・リサーチとドイツのカールスルーエ工科大学が共同で取り組んでいる。

その方法は、人間同士のやりとりをキャプチャーしてデータベース化し、ロボットに倣わせること。ビデオでは、人間から物を受け取るロボットが、相手の動きに合わせて手を差し出したり、静かに受け取ったりする様子が見られる。

人間っぽさを感じさせるのは、ちょっとした動作。ロボットがそれを覚えれば、人間ともスムーズにやりとりできるようになるわけだ。

関連記事はここ。論文はここ

チータ・ロボットは、時速22キロを達成

カテゴリー: ニュース, ロボット研究

MITのバイオメトリック・ロボティクスラボが2009年から手がけているチータ・ロボットの最新ビデオが公開されている。

このチータ・ロボットは、4本足のロボットとしてはボストン・ダイナミック社のチータに次ぐ速さである時速22キロを達成。ボストン・ダイナミック社のチータはこのほぼ2倍の速度で走るが、このチータ・ロボットはエネルギー効率の点ではそれにまさるという。

チータ・ロボットは油圧駆動ではなく、電子モーターを利用。三段階の永久磁石同期モーターを独自に開発して、高トルク密度を確保した。また、再生モーター・ドライバーも組み込み節電を図り、搭載した電池だけで走る。外部からの電気供給は不要だという。

ビデオでは、まるで本物のチータのように、速度が上がるとトロットからギャロップに切り替える様子が見られる。

IEEE Spectrumの関連ニュースはここに。

ロボットがメインストリームになるのを妨げている要因は何?

カテゴリー: ニュース, ロボット研究

ロボハブが、ロボット界のキーパーソンに「ロボットのメインストリーム化を妨げているのは何か?」と尋ねた回答を掲載している。その中から、いくつかをかいつまんで紹介しよう。どれも、思わずうなずくことばかり。

ブライアン・ガーキー(オープンソース・ロボティックス財団CEO): 現在は、状態推定や知覚、経路計画などかなりの専門知識を持つ研究者でないと、ロボットのアプリケーションが開発できない。ソフトウェアを書ける人間はたくさんいるのに、そこがネックとなって役に立つロボットが作れない。プログラムのためのビルディング・ブロックがあれば、そのバリアは低くなるはずだ。また、ロボット業界は実用的な目的を見つけるのが病的なほどにヘタだ。問題解決に際して、その問題を抱えた人々が本当に望んでいるのは何かを見いだすことに集中しなければいけない。

マーク・ティルデン(ロボット開発者、BEAMロボティックスやロボサピエンを開発): パーソナル・ロボットの最大の壁は、コストと時間だ。ロボットはSFやハリウッド映画によって大いにプロモーションされているが、作るのは容易でなく、複雑性が増せばコストと時間は幾何級数的に増大する。従って、うまくいかない作品を途中で放棄して次に取りかかった場合、完成することから得られる進化的な発見やスキルが得られないばかりか、途中で放置したプロダクトは金がかかったために捨てるわけにもいかず、ずっと作り手を悩ませ続けるのだ。そこが、プログラムのコード、本、他のバーチャル・プロジェクトを手がけるのと違った点だ。ロボットがもっと安く作れるようになり、バーチャル・シミュレーションではなく現実世界で失敗を繰り返してわれわれに学習の機会を与えてくれるようにならないと、本当に役立つロボットは生まれない。

アラン・ウィンフィールド(西イングランド大学ブリストル校ロボティックス教授): 何をもってメインストリームと呼ぶのかによるが、産業ロボットや海底油田のメンテナンスや監視のためのロボットは、すでにメインストリームになっている。惑星探索でも同様だし、テレビの漫画や映画などの文化面でもすっかりメインストリームになっている。だが、もちろん、ロボットがまだ人間の夢を満たしていないという心情は理解できる。大きな壁になっているのは、技術ではなく人間だ。たとえば、災害時の救援にはすでに遠隔操作のロボットが使われるのに、なぜ消防隊の標準装備にロボットが入っていないのか。それは、訓練や運営手続きというめんどうさから、消防署や消防隊がロボットをまだ受け入れようとしないからだ。もっと長期的な視点で見ると、メインストリームであるとはどういうことなのか。みながパーソナル・ロボットを持っていることだろうか、それとも車がすべて自律運転することだろうか。メインストリームと言っても、いいものばかりではないだろう。今の携帯電話のようにロボットがたくさんいる風景はちょっといやだ。何がメインストリームなのかはわからないが、確かなことは、サステイナブルで人間のためになり、そして生活の価値を高めてくれるようなロボットがメインストリームになって欲しいということだ。

『エコノミスト』誌が伝える、日本の介護ロボット事情

グローバルな経済雑誌として知られる『エコノミスト』誌のオンラインが、日本政府による10万円程度の介護ロボット開発補助金支給に関する記事を掲載している

Robot - economist

記事は、まず高齢者が増加する中で介護業従事者の不足を伝え、日本の海外労働者の受け入れの厳しさからロボットへ期待が持たれているという背景を伝えている。その上で、これまで介護用としてはモノをつかんだりモノを取りに行ったりするロボットが開発されてきたが、からだを拭いたり歯を磨いたりといった、より細やかな目的に役立つロボットはなかったこと、その一方で、ヒューマノイド型ロボットはコストが高くつき、また高齢者をベッドから持ち上げるようなロボットは、重量が大き過ぎることに触れている。

その結果、高齢者を抱きかかえたり、排泄物を自動的に処理したりする単純な機能が目されるにいったと説明。そして、筑波大学の山海嘉之教授が創設したサーバーダイン社の装着型ロボットHALが、限定生産でも17万8000円で販売されている事実は、日本の製造業が10万円程度のロボットの大量生産も難なくこなせることの証明ではないかと推測している。

同誌は、2020年までに、日本製の安価なロボットがアメリカなどの市場に溢れ返っていて欲しいという期待で、記事を結んでいる。

カッコいい! ロボット・バーテンダーのビデオ

カテゴリー: ニュース, ロボット研究

MITのセンサブルシティー・ラボが開発したロボット・バーテンダーのビデオが、めっぽうカッコいい。ロボハブが伝えている

このロボット、メイカーシェイカー(Makr Shakr)は、クカ社のロボットアームを利用し、1台が飲み物をシェイクする間にもう1台がレモンやパセリなどの添え物を準備するというもの。先頃開かれたグーグルのアンドロイド開発者会議I/Oのパーティーでも出し物として登場した。下のビデオは、ミラノで公開された時のもの。

センサブルシティー・ラボは、もともとセンサー技術が物理的な都市空間をどう変えるかが研究課題。群衆とジャストインタイムのデジタル製造との関係なども守備範疇だ。メイカーシェイカーは、研究、アートインスタレーション、社会実験を兼ねて作られた。

バーやパーティーに集まる人々は、メイカーシェイカーの動きを見ながら、自分の注文が何番目か、今夜人気の飲み物は何かといったようなことが、スクリーンやスマートフォンでわかるらしい。

こんなロボットがあると、バーや飲み屋の風景もすっかり変わってしまうだろう。

ハードウェア開発スタートアップのためのアクセラレーターは、こんなにある!

これまでインターネット・ビジネスのスタートアップを支援するインキュベーターやアクセラレーターはたくさんあったが、今はハードウェア製品の開発にもその動きが広まっているようだ。

ロボット関連のスタートアップをサポートする組織ロボット・ローンチパッドが、新しいアクセラレーターや既存施設のプログラム拡大を伝えている。場所もピッツバーグ、ボストン、サンフランシスコ、ニューヨークなどに分散しているが、中国の深圳もそうした中心地になっている模様。

施設によって強みは異なるようで、とりあえずのエンジェル資金とオフィス空間を提供してくれるところ、さまざまな分野のアドバイザーを多く揃えたところ、有名メーカーのマーケティングに準じた市場開拓を手伝ってくれるところなどいろいろだ。応募はオープンなようで、年に1〜2回の募集を行っている。

アクセラレーターに参加する利点は、当初の起業資金の提供を受けられ、オフィス空間やその他必要な設備が使えること。外部アドバイザーや、同じアクセラレーターに所属する他のスタートアップからの刺激も、ひとりで開発していては得られないことだ。もちろん、資金提供を受ける分だけ「口出し」をされることもあるだろう。

最近は、ハードウェアのモノ作りの機運が本当に高まっていると、ひしひしと感じる。こうしたアクセラレーターがあれば、ロボットの商用化への動きも加速化されるだろう。

同記事で挙げられているアクセラレーターは、以下:

AlphaLab Gear(ピッツバーグ)

Bolt (ボストン)

PCH International(サンフランシスコ、深圳)

Haxir8r (サンフランシスコ、深圳)

Lemnos Labs(サンフランシスコ)

Zahn Center(ニューヨーク)

マサチューセッツ州はロボット集積地に。テストセンターもある!

少し前の記事になるが、ボストン・グローブ紙にマサチューセッツ州のロボット産業の現状がレポートされていた

アイロボットリシンク・ロボティクスなど同州に拠点を置くロボット会社に言及されているが、何でも、ここにはロボット会社が約100社あり、また大学などで35のロボット研究開発プログラムが進められているのだという。2011年にロボット産業に従事している従業員は3200人、同年のロボット産業における売上は20億ドルに達したという。

2012年10月には、マサチューセッツ州立大学ローウェル校にロボットのための実証実験センター(NERVE = New England Robotics Validation and Experimentation Center)がオープンしたという。ロボットの機能を実験するためのプールや砂場などが用意されており、ロボット会社の利用にもオープンだという。こうした場所が設けられたのは、同州のロボット開発の速度を上げることが目的だ。

マサチューセッツ州立大学ローウェル校に設けられたロボット実証実験施設Nerve Center

「イノベーションがまたイノベーションを呼ぶ。だから、マサチューセッツ州のロボット産業は盛り上がっているんです」と、アイロボット社CEOのコリン・アングルが語っている。

クカ社のイノベーション賞応募者募集中。賞金は約2万ユーロ(265万円)!

ドイツの産業ロボットメーカーのクカ(Kuka)社が、同社の小型移動マニピュレータであるyouBotをベースにしたイノベーション賞への応募概要を発表した。1等の賞金は2万ユーロ(約265万円)。登録締め切りは6月15日だ。

youBotは、全方向移動が可能で、2本指のグリッパーがついた5自由度のマニピュレータが装備されている。Ubuntu LinuxとROSラッパーが搭載され、キネクトを始めとするセンサーのためのドライバーもある。

Robot - youBot

コンテストでは、youBotを最低1台利用していれば、他のロボットとの組み合わせもOK

このイノベーション賞は、移動マニピュレータにおける開発を促進すると共に、大学から産業への技術移転を後押しすることが目的で開かれるという。現実的な作業現場を想定しており、オリジナリティー、技術面ですぐに実現できること、経済的なインパクト、競争面での優位性などが評価の基準になるという。知的所有権は、応募者に帰属する。

youBotが身近にないなら、貸してくれる場合もあるようだ。世界中からの応募を歓迎するとのこと。

詳しい応募概要はここに。『IEEE Spectrum』の告知記事はここ

IKEAの家具を組み立ててくれるロボット

MITの分散ロボティクスラボが、家具を自律的に組み立てるロボットを開発した。5月半ばにドイツのカールスルーエで開かれたICRAでも展示されたもの。

このロボットは、クカ(KUKA)社製のYouBotsに特製のグリップハンドを付けたもの。グリップハンドは、2つの逆回転する歯車にゴムバンドを装着してネジが回転できるように考えられている。またソフトウェア面では、特定のCADを読み込み、部品の形状やネジ穴の位置を把握して、幾何学的推論システムやシンボリック・プラニングを駆使して組み合わせを考えるという。

研究者たちは、いずれもっと複雑な家具の組み立てもできるようにしたいと考えているという。これでIKEAの家具を組み立てる「頭痛」が軽減されるのなら、大歓迎。

『エクストリームテック』の関連記事はここ。『IEEE Spectrum』の関連記事はここ


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