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すでに人体の50%は、マシーンで代替可能?

スミソニアン博物館が、「バイオニック・ボディ」に関するドキュメンタリーを制作、10月20日にケーブルTVのスミソニアン・チャネルで放映する予定だ。

バイオニック・ボディとは、人体の生体信号とセンサーやコンピュータ機能を統合した半人工的な身体のこと。すでに筋肉の動きや神経の信号を読み取って手足の動きを形成する義足や義手があるが、それ以外にも脳信号を利用して動くロボットアーム、独自に機能する人工臓器(膵臓、脾臓、肺など)などが研究、開発されており、これらを合体すると、人体の50%を占めるという。もちろん、それらを全部統合したとして相互にうまく機能するかどうかは別問題だが、バイオニック・ボディの研究がここまで進められているとは驚く。

スミソニアン・チャネルで放映されるドキュメンタリー『バイオニック・マン』(http://www.smithsonianchannel.comより)

スミソニアン・チャネルで放映されるドキュメンタリー『バイオニック・マン』(http://www.smithsonianchannel.comより)

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ロボットの何が、愛着を抱かせるのか

人がロボットに対して抱く感情について、ニューヨークタイムズ・マガジン(日曜版の付録雑誌)に興味深い記事が掲載されている。「ロボットはどのようにして人に感情を抱かせるようになるのか」というテーマだ。

これからのロボットは単なる道具ではなく、それでいて完全な同僚でもないという、「グレーなゾーン」に属すものが多くなる。そのグレーなゾーンのロボットが行うタスクは社会的なやりとりも含むので、人間とロボットの関係が重要になり、昨今は「ヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)」という研究が行われていると、記事は説明する。 続きを読む

ひとつのジョイスティックで、100個のロボット群を操作する

カテゴリー: ニュース, ロボット研究

ライス大学マルチロボット・システムズ・ラボの研究者が、複数のリモートコントロール・ロボットを単一のジョイスティックで操作するアルゴリズムを考案した。『ロボハブ』が報じている

ビデオでは12個のロボットが各々に動くさまが見られるが、これは120個のロボットにも適用可能という。また今はスピードがのろいが、これを200倍速める新しいアルゴリズムを開発中とのことだ。

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ヨーロッパ版ロボティクス・チャレンジは、来週開催!

DARPA(国防高等研究計画局)が開催するロボティクス・チャレンジは、福島原発事故に刺激を受けて計画されたが、ヨーロッパでも同じように福島原発事故をきっかけに開催されるロボット競技会がある。ユーラスロン(EURATHLON)がそれだ。主催は欧州委員会。

ユーラスロンのサイトより(http://www.eurathlon2013.eu/)

9月23〜27日にドイツのベルヒテスガーデンで開かれるユーラスロンには、ヨーロッパとロシアから14チームが参加する予定。ロボットに課されたタスクは以下だ:

・都市構造の調査と監視

・危険物取り扱いの移動型操作

・煙が充満した地下構造内での捜索および救援

・GPS、GLONASS、GALILEOを利用した自動ナビゲーション

・爆弾装置の調査と廃棄

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ますます人間の近くで仕事をするようになるロボット

先だって、デンマークのユニバーサル・ロボッツ社がアメリカに支社を設けたニュースを伝えたが、同社のロボットがこんな風に使われているという記事が『テクノロジー・レビュー』に掲載されていた

サウス・カロライナ州のBMW工場で仕事をするロボット(www.technologyreview.comより)

サウス・カロライナ州のBMW工場で仕事をするロボット(www.technologyreview.comより)

場所は、サウス・カロライナ州にあるBMW工場。これまでの自動車製造工場でのロボットはパワフルで精密だったため、人間が近寄るのは危険とされてきた。そのため、最終的なアッセンブリー作業は多くはまだ人間の手に任されていた。

しかし、この工場では、ドアーに密封剤を取り付けるアッセンブリー作業をロボットが受け持っている。接着剤を塗る作業も含めれば、「毎日、ウィンブルドンの試合を数回こなしたほどの重労働」とのことだ。

BMWでは、さらに新しい可動ロボットをMIT(マサチューセッツ工科大学)の航空学および宇宙学部のジュリー・シャー教授と開発中とのことで、こちらはさらに洗練されたアッセンブリー作業をこなす上、人間の作業員に道具を渡したりするらしい。数年後に導入を計画しているという。シャー教授は、MITのコンピュータ科学および人工知能ラボ(CSAIL)のインタラクティブ・ロボティクス・グループを率いている。

同記事では、リシンク・ロボティクス社のバクスターが、現時点ではアメリカの中小規模の工場で利用され、コンベヤー上で動くものをパッケージするなどの軽作業を行っているのに対して、BMWのロボット利用はもっと重労働の製造作業に組み込まれることを目指していると、その違いを指摘している。

助けを求めるロボットの重要なポイント

カテゴリー: ニュース, ロボット研究

「スミマセ〜ン。ちょっとそこの棒を取って下さい」。

そんな風に、人間に助けを求めるロボットを『IEEEスペクトラム』が紹介している

これは、MIT(マサチューセッツ工科大学)で開発されているIKEAの家具を組み立てるロボット。以前ロボニュースでも紹介したことがあるが、クカ社のユーボットを利用したものだ。

そのロボットに逆意味アルゴリズム(inverse semantic algorithm)を統合すると、解決できない問題や間違いを認識し、それを解決するために何が必要かをはじき出して、人間がとれる行動に翻訳して助けを求める。あらかじめプログラムされているわけではなく、あくまでもアルゴリズムが動作するので、新しい状況にも対応するという。

ビデオを見ると、ロボットが「ちょっとすみません」とか、「白い板を裏返して下さい」、「ありがとうございます。あとは大丈夫です」などと言っている。そのさまがおかしくて噴き出してしまいそうになる。

だが、ここでは人間としっかりコミュニケーションができるように、ロボットは直面している問題のコンテクストに合った方法で、自然言語で名詞、動詞を用いて発言し、的を得た、クリアーで簡潔な表現で助けを求められるようにしているという。たとえば、「黒いテーブルの上に載っている白い棒を、青色のロボットに渡して下さい」といったような具合だ。実に具体的に言うのである。

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デンマークのユニバーサル・ロボッツ社、アメリカへ支社

カテゴリー: ロボット会社

デンマークの軽量ロボットアームのメーカー、ユニバーサル・ロボッツ社がアメリカに本格的に進出する。

同社はこれまでも子会社を通して製品を提供してきたが、今後はニューヨークのロングアイランドに支店を構え、そこでロボットの組み立ても行うという。研究開発は、これまで通り本国で行われる。

ユニバーサル・ロボット社の製品のひとつUR5 Double

ユニバーサル・ロボット社の製品のひとつUR5 Double

ユニバーサル・ロボッツ社は、創業2005年。同社の製品は、機械工場や製造現場で用いられてきた。モニターやタブレットから操作可能で、生産ラインに合うようにプログラムもできる。アメリカを含め、すでに世界40カ国に輸出されているという。

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現代のおもちゃロボットは、子供たちに考える力を与える

ウォールストリート・ジャーナルが、最近のおもちゃロボットをいくつか紹介している

取り上げられているのは、レゴマインドストロームE3、ロボニュースでも紹介したロモーティブのロモ、そしてオーボティックス・スフェロ2.0、そしてそんなおもちゃの部品になるリトルビッツだ。

スマートフォンを載せたロモ。小型のモバイル兼テレプレゼンス・ロボット。

スマートフォンを載せたロモ。小型のモバイル兼テレプレゼンス・ロボット。

ものづくりの好きな子供たちにとって、最近のおもちゃは格段と高度になった。スマートフォンが利用できたり、プログラムが可能だったり、またモーターやプロセサーが非常に安くなったおかげだ。子供たちも手を動かしながら学べるこの時代は、おもちゃの黄金時代だと、記事は興奮気味。

スフェロは、秒速7フィート(2.1メートル)で走る球体。直角に曲がったり、回転させたりもできる。

スフェロは、秒速7フィート(2.1メートル)で走る球体。直角に曲がったり、回転させたりもできる。

こうしたおもちゃロボットは、8歳の子供でも遊べるほどのシンプルさがありながら、かなり専門的な技術も盛り込まれていて、ロボット開発者やプログラマーを刺激するものだという。

リトルビッツのキットの一例

リトルビッツのキットの一例

ジェスチャーとヴァーチャル・リアリティー・ヘッドセットで設計、製造する イーロン・マスクの未来型デザイン方法

カテゴリー: ニュース

イーロン・マスクと言えば、電気自動車メーカーのテスラ・モータズを共同創設し、宇宙輸送サービス会社であるスペースXを設立した人物。さらに、最近はサンフランシスコとロサンゼルス間を30分で結ぶ時速1300キロの新交通手段、ハイパーループを提案した。まさに、現代のマッド・サイエンティストである。

そのマスクが、3Dセンサーのリープ・モーションやバーチャル・リアリティー・ヘッドセットのオクルス・リフトなどを利用して、これまでとはまったく異なった直観的な方法で設計デザインができる方法を開発したと、ビデオで公開している。

それによると、CADで設計されたロケット・エンジンをジェスチャーで回転、拡大させたりできることはもちろん、画像を3Dメガネで見ながら操作したり、部品の断面を露出させたり、特定の部品を選んでそれをすぐに3Dプリンターで製造したりできる。オクルスを用いると、バーチャル環境にイマーシブに浸りながらオブジェを操作できる。

できるのはまだ単純なことばかりのようだが、マウスとキーボードという限定的な入力手段から解放され、もっと思いのままにデザインできる方法の第一歩と言える。さて、ロボットの設計や操作にも使える技術になるだろうか。

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ウィロー・ガレージとスータブルのこれからはどうなるのか?

ご存知の方も多いと思うが、ここ最近のロボット界の大ニュースは、ウィロー・ガレージのほとんどのスタッフがスータブル・テクノロジーズ社に吸収されることになったというもの。

もともと、スータブル社こそ、ウィロー・ガレージのスピンアウトのひとつだったのだが、母体がスピンアウトに吸収されるというわけだ。スータブル社は、テレプレゼンス・ロボット「ビーム(Beam)」を開発している。

ウィロー・ガレージを創設し、スータブルのCEOも務めているスコット・ハッサンが『IEEEスペクトラム』でインタビューに答えて、今回の吸収の背景を語っている。その内容を紹介しよう。

スータブル・テクノロジー社のサイトより

スータブル・テクノロジー社のサイトより

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