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バクスターの時給は3ドル(300円)? コーロボットの最新状況

カテゴリー: ニュース, ロボット会社

人間のすぐそばで働くコーロボットに関する最新の状況が、『ロボハブ』にいくつか出ていた。コーロボットは、特に中小企業の製造現場で、黙々と働いて生産性を上げると目されているものだ。価格も安く、軽量でフレキシブルに動きを調整できるのが特徴だ。

最近アメリカにも支社を出したデンマークのユニバーサル・ロボッツ社は、すでに世界で3000台を売り上げているという。しかし、アメリカではリシンク・ロボティクス社のバクスターがそれを上回っており、アメリカだけでも毎月60〜100台の同等のペースで出荷している。

バクスターは中小企業だけではなく、学校や研究機関にも売られている。ヨーロッパの大学研究所にも出荷され始めたようだ。バクスターのSDKは現在大学での研究用にリリースされているが、2014年には産業バージョンのSDKが出される予定だ。

またユニバーサル・ロボッツ社は、ヨーロッパから始まり、現在はアメリカ、アジアなどへも販路を広げている。

最近放映されたニュース番組では、ロボットと生産性、労働の関係をとらえ、バクスターのようなコーロボットを採用することによって、今後10年の間にアメリカで300〜500万の新しい職が生まれるとしている。

その理由はこうだ。バクスターは電力やプログラミングなどを合わせてもコストは時間当たり3ドル程度。アメリカでは人間の生産性が高く、そんな人間とロボットを合わせると、中国での製造コストよりも安くつく。人間だけならば中国などの途上国に太刀打ちできないのだが、ロボットを組み合わせると生産性は高くコストは安いという状況が生まれるのである。

10月初頭に放映されたCBSニュース番組ではコーロボットがテーマに

10月初頭に放映されたCBSニュース番組ではコーロボットがテーマに

ロボットは、アメリカの労働を奪うのではないかというのがもっぱらの議論。だが、ロボットと人間を一緒に増やし、両者が一緒に働く最新スタイルの製造現場ができるおかげで、そんな心配も杞憂に終わるかもしれない。

この記事には、実際の工場で稼動しているコーロボットの様子を収めたビデオも載っているので、ぜひご覧いただきたい。

走り回るロボット「ワイルドキャット」

10月初め、ボストン・ダイナミックス社のユーチューブに突然お目見えしたのが、このすごいロボット。「ワイルドキャット」という名前で、DARPA(国防高等研究計画局)のM3(最大可動性と操作性)プログラムの下で開発されたものという。

電力を搭載し、時速約25キロで走り回る。走り方もギャロップから飛び跳ねるまでといろいろ。走りながらカーブしたりもする。説明によると、「さまざまな地形の上を高速に走るロボット」として開発されてきたようだ。

『IEEEスペクトラム』は、1年ほど前にこのワイルドキャットが開発中であることを知ったとしている。同社の別のロボット、チータの時速45キロに比べるとワイルドキャットは鈍いが、これは搭載電源や歩調による制限なのか、今後調整の必要なまだ新しいロボットであるためなのかは不明という。

ビデオでは途中で転ぶところも出ているが、これだけ軽快に走れるとはあっぱれだ。

「ユーラスロン2013」の勝者発表!

先だってお伝えしたヨーロッパ版のロボティクス・チャレンジ「ユーラスロン(EURATHLON)」の勝者が発表された。『ロボハブ』が5日間の過程と共に、詳しく伝えている。下ビデオは5日目と表彰式の様子。

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インテルがローンチした、ソーシャルにつくる3Dロボット

インテルにはフューチャリストという肩書きの社員がいる。10年以上先の未来の生活はどうなっているのかを予測して、そのフィードバックをインテルの開発者に伝えるのが仕事である。未来を予測するために、SF小説のシナリオづくりの手法を利用したりもする。

そのフューチャリストのひとりである、ブライアン・デビッド・ジョンソンが、オープンソースで開発するロボット・プロジェクト「21世紀ロボット・プロジェクト」を発表した。

オープンソースで作られるロボットの「ジミー」(左)(http://robots21.com/より)

オープンソースで作られるロボットの「ジミー」(左)(http://robots21.com/より)

このプロジェクトでは、3Dプリントできるロボットのファイルとキットを共有、そこにさまざまな開発者がかたちやアプリに自分で手を加えていく。

キットの中味はまだ発表されていないが、プロセッサー、メモリー、サーボモーター、パワーパックなどと予想されている。発表は来年5月の予定。500〜1000ドルの価格を目指しており、現在よりもロボット作りを格段と安くすることも目標だ。

ジョンソンは、ロボットの機能を「パーソナル・ロボットとして、コンパニオンになったり、毎日の薬を飲むようにリマインドしてくれるヘルパーになったりすることも可能」と語っている。開発者らはこのロボット、ジミーの手を見て、何かを掴ませたりすることもできそうとしている。どんなロボットになるのか、可能性は広い。

『ギズマグ』の関連記事はここ。世界のメーカーたちにプロジェクトを解説した本はここ

ストライカー社が、手術ロボットのマコ・サージカル社を15億5000万ドルで買収

カテゴリー: ニュース, ロボット会社

歴史ある医療機器メーカーであるストライカー社が、手術ロボットを開発するマコ・サージカル社を16億5000万ドルで買収した。ロイターが伝えている

マコ・サージカル社は2004年創設で、膝やヒップの整形外科インプラントの挿入を自動化したロボットを開発する。ロボティック・アームを利用して厳密な手術ができる技術だ。

今回の買収では、マコ社株に86%ものプレミアムを加えた価格となっているが、両社の相乗効果には大きな期待が寄せられている。また、これによって医療機器関連の買収額が、今後高くなる影響も出ると予想されるという。

マコ・サージカル社のシステム(http://www.makosurgical.comより)

マコ・サージカル社のシステム(http://www.makosurgical.comより)

アメリカの学校には、すでに3000台のNAOがいる

カテゴリー: ニュース, ロボット会社

ケーブルテレビのFOXニュースが、ニュージャージー州の高校で小型ヒューマノイド・ロボットのNAOを採用した授業をレポートしている。

Robot - nao.1

ビデオはここから。

コンピュータ科学や数学、物理などの授業をサポートするために、すでに3000台のNAOが全米の教育現場にいると同ニュースは伝えている。生徒がNAOをプログラムしその結果を見ることで、プログラムに対する興味を抱き、どんどん複雑なことができるようになることが期待されている。

このNAOを販売しているのは、テック・ロボティクス社というハイテク関連の教材会社。1台6万ドルという。

同社のサイトを見ると、「現代の教室を進化させ、子供たちに専門的な知識を持たせていく」ためのサービスや環境を提供するとしている。NAOの他にも、インタラクティブなタッチスクリーン、記録用カメラなどが挙げられており、学習マネージメントシステムや種々のアプリなどのソフトウェアもある。

生徒だけでなく、テクノロジーに弱い先生も、こうしたサービスによってテクノロジーへの知識を貯えていくのだろう。

バクスターのソフトウェアが2.0にアップグレード

製造現場で人と一緒に仕事ができるコー・ロボットの代表的存在、リシンク・ロボティクス社のバクスターが、バージョン2.0にソフトウェア・アップグレードされた。アップグレードは、コンピュータやスマートフォンと同様、ネット経由でダウンロードして行われる。

2.0での改良点は、スピードが速くなったことと、どんな角度からもモノをピックアップできるため、多様な動作が可能になったこと。さらに動きがより正確になり、スキャンなどができるようにモノを空中で持ち上げたまま、その位置を保つこともできる。異なった形状を見分ける機能も向上したという。

ビデオを見ると、当初よりもいろいろなタスクをこなせるようになっているのがわかる。同社では、バクスターは「これからもどんどんソフトウェアが改良されることで、投資効果がもっと上がっていく」と強調している。

しかし、このビデオでは作業員にバクスターのアームがぶつかる様子が’わざわざ収められている。ぶつかっても痛くないということだろうか。作業員をあらかじめ感知して、腕を止めてくれないのは確かのようだ。

テスラも自律走行車開発へ。自走車のロードマップはどうなる?

シリコンバレーでは自走車実用化への期待が本格的に高まっているが、電気自動車メーカーのテスラも3年以内に「90%自走する」車を発表する。「ファイナンシャル・タイムズ」が伝えている。3年というと2016年。その頃にもう「ほとんど自走車」という製品が路上を走っているとは、すごいことである。

テスラCEOのイーロン・マスクは、90%自走と「100%自走との間には、非常に大きな溝が横たわっている」と語る。完全自走をめざすよりも、まずは製品化して市場で売れる車を作ろうという選択をしたということだ。

テスラなら、自走車もかっこよくなる?(http://www.teslamotors.com/より)

テスラなら、自走車もかっこよくなる?(http://www.teslamotors.com/より)

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必見! ロボット関連の新興企業を総ざらい

国際ロボット連盟(IFR)が先頃、ロボット産業界の動向に関する報告書を発行したが(産業ロボットとサービスロボットの2巻)、その中でロボット関連の新興企業をレポートしたフランク・トービー氏が、その記事を自身のブログ・サイト『エブリシング・ロボティク』で公開している

同記事では、医療関連、リモートプレゼンス、海底探索、搬送、消費者向け、AI、農業、無人航空機、ニッチ市場(太陽光発電など)、新領域(ゴミ分離、脳波コントロールなど)に分けて、世界の新興企業が紹介されている。

ぜひ記事にアクセスして、各社のサイトのURLをクリックされることをお勧めしたい。ロボットと呼ばれるにはあまりにかたちが異なるが、その応用分野が多岐に渡っていて、幅広くロボット産業の盛り上がりが感じられるラインアップだ。

記事ではさらに、こうした新興企業がどのような資金を受けて起業し、運営されているのかにも言及している。それによると、研究者らがちょっとしたインスピレーションを商用化することで、さらに研究が続けられるようになっているケースも多く、その場合はクラウドファンディングが有効な資金調達手段になっているという。宇宙開発や軍事関連の政府プログラム(NASAやDARPA)の資金を得るケースでは、特定の目的を果たすための新しい方法論を模索する目的の「戦略的補助金」によって資金を得ていることが多いという。

また、235社の新興企業を国別、分野別に分類した表も興味深い。それによるとアメリカの128社が新興企業数ではダントツ。その後にフランス、カナダ、スイスなどが続く。残念ながら日本はたった7社。いや、変革はこれから、そして成長ののびしろがまだたっぷりあると期待しよう!

ロボット関連新興企業235社の国別、分野別分類(http://www.everything-robotic.com/2013/09/a-glimpse-at-our-robotic-future-235.htmlより)

ロボット関連新興企業235社の国別、分野別分類(http://www.everything-robotic.com/2013/09/a-glimpse-at-our-robotic-future-235.htmlより)

新興企業の成功例。コー・ロボットを開発したユニバーサル・ロボッツ社

先だって、アメリカのBMW工場で人間のすぐそばで働くロボットを紹介したが、同じくユニバーサル・ロボッツ社の製品はドイツのフォルクスワーゲン社でも導入されているという。『ロボティクス・ビジネス・レビュー』が伝えている

ニーダーザクセン州のこの工場では6000人の従業員が働き、毎日7000台のガソリンおよびディーゼル・エンジンを製造している。ここでユニバーサル社の6軸ロボットUR5は、シリンダーヘッドにデリケートなグロープラグを挿入する作業を行っているという。この作業は、人間の作業員に不自然な姿勢を強要する上、シリンダーヘッドがよく見えないために手間のかかるものだったという。ユニバーサル社は、さらに5キロの重量を持ち上げることができるUR5の機能を利用して、もっと重いタイプの労働を人間のそばで行えるようにすることも計画中という。

フォルクスワーゲン社の工場で利用されているUR5(http://www.roboticsbusinessreview.comより)

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