DARPAロボティクス・チャレンジ決勝戦には、25チームが参加。日本からは5チーム!
DARPA(国防総省高等研究計画局)が来る6月5〜6日に開催するDARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)決勝戦の参加チームの顔ぶれが発表された。米時間3月5日午後にカンファレンス・コールで明らかにされた。
一昨年の予選を勝ち抜いた11チームに加えて、ドイツ、香港、イタリア、日本、中国、韓国から新たに14チームが参加、合計25チームが自然災害、人的災害における救援ロボットの技を競い合う。日本からは、何と5チームも参加する。
決勝戦のタスクについては以前お伝えしたが、そこからの大きな変化はない。予選とのちがいは、タスクがひとつひとつ行われるのではなく、一連のものとして連続していることだ。ロボットは車に乗り込んで人が踏み込めない現場へ向かい、車を降りて建物のドアを開き、道具を手にして壁に穴を開けたりバルブを閉めたりする。最後にはしごを上る。
そして、この一連のタスクは1時間以内に終了することが求められる。予選の時には8つのタスクにそれぞれ30分が与えられ、それでも済ませることができなかったロボットがいたことと比べると、かなり高速のロボットの動作が期待されていることになる。最後には、サプライズ・タスクも用意されているようだ。
しかも、今回は通信や電源のためのワイヤーも、転倒防止のためのテザリングもなし。もし倒れたら自力で起き上がりタスクを続行しなければならない。通信もたびたび遮断され、ロボットは自律的に動くことが求められる。より実際の災害救援に近づけた環境で、ロボットは実力を試されるというわけだ。
フリーズしたら、最初からやり直しも可
ただ、いくつか緩められたルールもある。たとえばアトラスを与えられているチームもある程度のカスタマイズを行ってもよい。また、ロボットが道具を持ち歩き、用が済んだら捨てて行ってもいい。さらに、もしロボットが転倒して動かなくなった場合は、スタート時点に人間が運んで行って最初からやり直すことも許される。もちろん1時間という制限時間内でのことだ。
そして、不得意なタスクはやらなくてもいいようだ。たとえば、車での運転の代わりにロボットは100メールを歩行してもいい。ただし、評価の際にはもし同点のロボットが他にいれば、全タスクを遂行しなかったことは不利になる。
というわけで、かなり楽しみな競技となりそうだ。DARPAは、新しい参加希望チームから提出されたビデオで、うつむけの状態からロボットが起き上がれるか、10メートルを転倒せずに歩行できるかなどの5つのサンプル・タスクが遂行できることを確認して、最終的な参加チームを選抜。また、近々サウス・キャロライナ州で2日間にわたって参加ロボットの事前テストも行うようだ。これは「shake-out test」と名付けられているので、参加レベルに達していないロボットはここで落とされる可能性もあると思われる。
日本から参加する5チームは?
さて、日本から参加するチームだが、以下がその顔ぶれだ。
・チーム・アエロ(Aero): リード組織は東京大学
・チームAIST-NEDO: リード組織は産業技術総合研究所(産総研)、ロボット名はHRP2+
・チームHRP2-Tokyo: リード組織は東京大学、ロボット名はHRP2
・チームNEDO-ハイドラ(Hydra): リード組織は東京大学
・チームNEDO-JSK:リード組織は東京大学、千葉工業大学、大阪大学、神戸大学
日本のチームは、まだウェブサイトも公開されておらず、基本情報以上のチームの詳細がよくわからない。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が関わっているチームもいくつかあるため、ロボット関連企業も参加しているのではと思われるが、詳しくは不明だ。DARPAに質問したところでは、実際の決勝戦まで明らかにされないことも考えられるという。ミステリアスなことである。(各チームのロボットの写真は、ここにあります。当初は不明とお伝えしましたがDRCページに載っていました! 各チームをクリックするとある程度の情報が表示されます。)
日本やヨーロッパなど、海外のチームは、通常のDARPAによる国防技術開発の枠組外での開発プロジェクトとしてDRCに参加している。災害対応ロボットの開発、実証、性能評価手法の開発というのが主目的だ。ここに詳しい資料がある。
一昨年の予選では、日本チームであるシャフトが他を大きく引き離して1等を受賞した。決勝戦に5チーム参加というのは、海外勢でも最多。日本チーム同士の対決もおもしろそうだ。健闘を大いに期待したい。