ソフトバンク・ロボット「ペッパー」に対する、アメリカの反応は?
ソフトバンクがヒューマノイド・ロボットを19万8000円で発売というニュースは、アメリカでも数々のメディアで報じられている。
このロボット「ペッパー」は、NAO(ナオ)を開発したフランスのアルデバラン社が、2年をかけてソフトバンクのために製作したという。クラウドAIと感情エンジンによって人々の反応を学習し、より適切にやりとりするロボットとなるそうだ。
はたして勝算はあるのか。それについてのアメリカの反応を見てみよう。
まず、ロボットに詳しい『IEEEスペクトラム』はこんな評だ。
「なめらかに動く頭やアームを見て、『まるで小さな人が中に入っているよう』とある人は言う。けれども、ペッパーの動きは注意深くプリプログラムされたものに見える。したがって、本当の環境でペッパーがどう振る舞うのかはまだ分からない」。
「孫正義氏は、ペッパーはいずれ二足歩行することになるかもしれないと示唆。それによって、12時間という電池の持ちは変わるかもしれない。アルデバランは、すでに二足歩行ロボット『Romeo(ロメオ)』を開発しており、ペッパーが二足歩行になるのもそれほど遠い未来ではないかもしれない」。
「アルデバラン社のブルーノ・メゾニエールCEOは、ペッパーとナオは見た目が違っているが、NAOqiという同じ基礎ソフトウェアで成り立っており、そのためプログラミングは簡単になっている。ナオのために開発されたアプリケーションは、ペッパーとも互換性があり、その逆も同じだ。アルデバラン社では、スマートフォンのアプリのように、パッパーを開発者にオープンにして、ロボットの機能性を向上させていく予定」。
「このアプリ戦略は、NEC社のPaPeRo(パペロ)や富士ソフト社のPalro(パルロ)と似ている。アルデバラン社は9月に開発者会議を開く予定で、その際にこのロボットの詳細とSDKについて解説するものと思われる。プログラマーだけでなく、アーティストやミュージシャン、グラフィック・デザイナーも歓迎したいとのこと」。
「ソフトバンクが、一般消費者向けにロボットを販売するのは野心的なこと。だが、ソニーのアイボでわかったように、どんなに優れたロボットであってもパーソナル・ロボット市場に乗り込むのは簡単ではない。もうひとつの教訓は、三菱の家事ロボット、若丸だ。さっそく購入したアーリー・アダプターたちは、若丸が実際には役立たずという評価を下した。若丸のアームにもペッパーと同様、単に見た目のジェスチャーだけのグリッパーがついていた。これはアンバウンデッド・ロボティクスのUBR-1やトヨタのHSRがマニピュレーションの役割を果たすのとは大きな違いだ」。
「それでも価格は安い。あるロボット関係者は、『完全なコスト計算をすれば、価格は高くなるのではないか』と語っている」。
『PCワールド』の評は以下だ。
「皿を洗えとか床を拭けと命じれば、ペッパーは理解するかもしれないが、実際に従うことはないだろう。何せモーターが20個しか付いておらず、繊細なモノをつかんだりもできないからだ」。
「Robots-Dreams.comを運営するレム・ファギット氏は、現実的な消費者ロボットとして成功するための需要や必要性はまだないと語る。低価格にはみなが驚いているが、これは契約モデルで成立する数字であって、通信データ契約が別に課せられるのではないか。スマートフォンと同様、長期にわたる契約を計算に入れているのだろう、と語っている」。
『ザ・ヴァージ』では、「これは孫氏がロボット分野に手をつける初めてのことだが、日本が直面している問題を解決するテクノロジーに進出したいという同氏の意志に添ったもの。同氏は、原子力発電に代わるグリーン・エネルギーを提唱しており、またソフトバンクとしてヘルスケアに進出することも明らかにしている。日経新聞は、同社が将来、高齢者介護のためのロボットを開発すると報じている」と伝えている。
『テッククランチ』ではこのように。「2000ドル以下の価格ならば、住み込みの介護人よりはずっと安く、多くの人々が入手できるかもしれない。だが、在宅ヘルスケア用だと宣言する前に、このロボットがどれだけ多才なのかを確かめる必要がある。ただ、ホーム・ロボットへの興味深い一歩であることは確かだ」。