リシンク・ロボティクス社でレイオフ
「ボストン・グローブ」紙が、リシンク・ロボティクス社でのレイオフを伝えている。
記事によると、リシンク・ロボティクス社は90人いた従業員のうち21人をカットした。同社は、工場で人と並んで働くロボットとして知られるバクスターを開発、製造する。創業したのは元MIT教授のロドニー・ブルックス氏だ。
同社には、アマゾンCEOのジェフ・ベゾスの個人投資会社であるベゾス・エクスペディションズ、チャールズ・リバー・ベンチャーズなど有数のベンチャー・キャピタル会社が、これまで7350万ドルを投入している。
同社CEOのスコット・エッカート氏によると、今回のレイオフはバクスターの市場セグメントを受容度の高いところに集約させるためと述べている。バクスターがうまく受容されているのは、プラスティック製造業、消費者向け商品、倉庫、ロジスティクス関連だという。バクスターは、世界の大学や研究所にも販売されている。価格は2万2,000ドル。
エッカート氏は、「幅広い市場を目指すよりも、小さなチームで成長度の速いセグメントに集中する」と述べ、潜在的顧客はまだまだあり、今後ともハードウェア、ソフトウェア両面での改良を続けていくとしている。
製品開発担当の副社長も離職するが、これは今回のレイオフとは無関係という。
ロボット情報サイトの「エヴリシング・ロボティク」は、このレイオフについての考察を載せている。
それによると、バクスターは工場での生産効率を向上させてアメリカの中小企業を救うという謳い文句だったが、バクスター自体がその目標に到達しなかったのではないかという。バクスターはまだ発展途上の状態だからだ。
これに比べて、同じように作業員と一緒に並んで仕事をするユニバーサル・ロボッツ社の製品は1本しかアームがなく、その上バクスターよりも価格がやや高めだが、動きが迅速で細かな作業をこなし、より重量の荷を持ち上げられる。さらに製品の寿命も長く設計されているという。
デンマークを本拠とするユニバーサル・ロボット社は、これまで50カ国で2500台以上の製品を売り上げた。これは、過去5年間で200社以上のディストリビューターを通してのこと。同社は2013年に50人の社員を追加して、現在全世界で97人の従業員を擁している。2014年もさらに雇用する予定らしい。
ユニバーサル・ロボッツ社の北米セールス・マネージャーによると、プラグ&プレイ型の同社製品は幅広い業界に適用可能で、BMWやフォルクス・ワーゲン社などの大企業から、中小企業までひろく受け入れられているという。
エヴリシング・ロボティクは、最近のグーグルによるロボット企業買収などもあり、リシンク・ロボティクス社のレイオフはロボット業界全体の状況を示すものではないと記している。全米では現在、逆にロボット関連の技能が求められている状態だという。
エヴリシング・ロボティクは、今回のレイオフの背景には次のような4つの要因があるのではないかとしている: (1)そもそも多くの従業員を雇って多くのことをやろうとし過ぎていた; (2)投資家らによって、早く市場へ製品を出すようにせかされた; (3)多機能なロボットを作ったが、うまく仕事がこなせなかった; (4)迅速で安全、フレキシブルで安く、教え込むのが簡単で人と一緒に仕事ができるという、買い手の求めるロボット開発がまだ完了していなかった。
注目されるロボット企業だけに、再びうまく軌道に乗ってほしいものだ。