ほとんどの人は、ロボット・ドクターの診察に抵抗なし
MITとボストンのブライガム&ウィメンズ・ホスピタルの研究者らが1000人を対象にしたアンケートを行ったところ、ほとんどの人はロボットを介した医師のリモート診断に抵抗がないことがわかった。MITニュースが伝えている。
昨年夏、研究者らは、医師とコロナ感染疑いのある人々とのソーシャル・ディスタンスを確保するために、患者トリアージュを行える機能を搭載したリモート診察方法を模索し、ボストン・ダイナミクスの犬型ロボット、スポットを使って開発に取り組んでいた。
このドクター・スポットは、センサーによって体温、呼吸数、心拍数、血中酸素飽和度が計測でき、装着されたタブレットを介して医師とのやりとりも提供する。患者と直に接しないことで医師の感染を防ぎ、PPE不足の問題解決も目指したものだ。
ただ、不明だったのは患者側の受容度。今回の調査によって、人々の抵抗がほとんどないことがわかった。
調査では、全米からオンラインで得られた1000人の回答に加えて、ブライガム&ウィメンズ・ホスピタルの待合室にいる51人の人々のうち、同意した41人に実際にスポット医師による診断を受けてもらった。
オンライン回答では、トリアージュだけでなく、綿棒を使った検体採取やカテーテルの挿入、ベッドで身体の向きを変えてもらうことにもオープンだとした。スポット医師による診察にも、90%が満足と答えた。
研究者らにとっては、回答は予想以上にポジティブなものだったようで、今後も開発を続けるとしている。
しかし、形状や使い方には課題も
ところで、昨年1月ワシントン州でアメリカ最初の患者を診察したのもロボット・ドクターだった。CNNが伝えていた。
このロボットは、サンディエゴに拠点を持つインタッチ・ヘルスが10年以上前から開発しているリモート医療用のデバイスの一つ。(同社は現在テラドック・ヘルスの傘下)。
実はロボニュースは9年前に同社を取材し、利用する医師にも話を聞いていた。
その時知ったのは、医療用テレプレゼンス・ロボットの形状については患者に人間性を感じさせるとか、威圧感を与えないといった配慮が求められるということだ。厳密に言えば、犬型ロボットのスポットが近づいてくるのに対しては、可愛いと歓迎する人と怖いと感じる人に分かれるかもしれない。
また、2年前には、医師が患者と家族が待つ病室に医療用テレプレゼンス・ロボットで入室し、末期ガンであることを宣告したことが問題になった。遠隔医療に慣れてしまったあまり、心ない行動にいたったという例だ。
ロボットが提供してくれる便利さに精神まで奪われてはならず、細心の配慮が必要であるという教訓である。