ロボット・ショッピングカートは実現するか?

スーパーでの買物の際に、重いカゴを持ったり大きなカートを押したりしなくていいなら、どんなに楽だろうか。ことにアメリカでは売り場が広大な上、カート自体が重い。

数年前からそうした場で使えるようなロボット・カートを開発してきたファイブ・エレメント・ロボティクス社の製品を、現在ウォールマートが評価中という。『ブルームバーグ』が伝えたニュースに、『IEEEスペクトラム』も考察を加えている

左がバジー、右がダッシュ(http://5elementsrobotics.com/より)

左がバジー、右がダッシュ(http://5elementsrobotics.com/より)

ウォルマートは、アマゾンに対抗してさまざまなデジタル・テクノロジー導入を行っている。シリコンバレーにデジタル部門の拠点を設けているのも、その表れだ。

ことに、デジタルな体験をフィジカルなストアーでもやってもらおうと、今は店内にいながらスマートフォンで商品をスキャンして支払いし、レジの列に並ばなくてもいいようなしくみもあるという。また、オンラインで買物をしておいて、車でまとめてピックアップできるサービスもあるようだ。

さて、ファイブ・エレメント・ロボティクス社は、数年前から超音波装置を利用して、客の後を付いていく「バジー(Budgee)」というロボットを発表していた。同社のロボット・ショッピングカートの「ダッシュ(Dash)」は、その発展型だ。ビデオを見ると、ダッシュは客を先導するのと、客に付いていくことの両方ができるようだ。

まず、客が店内に入って来た時には売り場まで案内をする。その際に、無駄に動き回らなくていいように、最短のルートを取る。カートに商品を入れる際にスキャンができ、それがまとめて支払い処理になる。レジの行列を回避できるわけだ。

買物が終わると、今度は自分の車に向かう客の後をついていく。そして、客が荷物を車に移し替えて役割を終えると、自律的にチャージ・ステーションに戻ってくる。

『IEEEスペクトラム』は、いいアイデアとしながらも、いくつか問題点を指摘している。まず、中距離のLIDAR、3Dカメラがひとつずつにセンサーが付いているようだが、それでスーパーのカオス的な環境をうまく縫っていけるのか。また、客が車へ向かう屋外の環境でうまく走行できるのか。

倉庫やホテルで自律走行するロボットはいくつか発表されているが、それらはもっと構造的な環境だ。一方、スーパーは他の客、カート、子供などが入り交じった難しい環境である。

ダッシュがうまくこの問題を解決すれば、めんどくさいショッピングも楽しくなりそうである。

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