<イベント(前夜)レポート>DARPAロボティクス・チャレンジ決勝戦 いよいよ明日から開催!

まだまだ先のことだと思っていたが、もう明日になってしまった。DARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)の決勝戦のことだ。ロボニュースも、サンフランシスコから8時間車を飛ばして、ロサンゼルス郊外のポモナのフェアプレックスまでやってきた。

明日からDRC決勝戦が始まるポモナのフェアプレックス会場

明日からDRC決勝戦が始まるポモナのフェアプレックス会場

この決勝戦は予選に比べて格段と規模が大きくなっている。参加するチーム数は25。2013年末に開かれた予選では16チームだった。また、アメリカ、アジア、日本、ヨーロッパと世界中からチームが集まって国際的になっているのも、前回との違いだ。予選では、ほとんどがアメリカからのチーム。あとは、日本、香港くらいが海外勢だったからだ。

さて、本日は午後6時からメディア・ブリーフィングが開かれた。およそ300人のジャーナリストが登録しているというが、何とそのうち100人が日本人ジャーナリストとのこと。予選ではほんの一握りしかいなかったことと比べると、今回のチャレンジに臨む日本勢への期待が感じられる。

メディア・ブリーフィングに集まったジャーナリストたち

メディア・ブリーフィングに集まったジャーナリストたち

ブリーフィングは、DRCプログラム・マネージャーのギル・プラット氏の説明から始まった。

今回の決勝戦の特徴は、8つあるタスクを一連のものとして行うことが求められていること。予選ではひとつひとつが別々に遂行された。その8つを1時間で行う。前回は1つのタスクに30分かけることができたのに比べると、かなりスピードアップして仕事をこなさなければならない。

8つのタスクは、車を運転する、車から降りる、扉を開ける、バルブを回す、壁に穴を開ける、がれきを取り除く/デコボコの地面を歩く、階段を上る、サプライズ・タスクである。がれきとデコボコはどちらかひとつをやればよい。またサプライズ・タスクは、その時にならなければわからないもので、2日間で毎日異なったものになるという。

DRCプログラム・マネージャーのギル・プラット氏

DRCプログラム・マネージャーのギル・プラット氏

ご存知の通り、DRCは福島での原発事故がきっかけで始まった。事故直後の24時間以内に水素ガスの発生を止める手段があれば、あれだけの大惨事にはいたらなかった。事故後しばらくたってから投入されたロボットは、いずれも状況を調べるにはよかったが、「対処」には役に立たなかった。DRCは、事態がさらに悪くなるのを防ぐよう対処ができるロボットを目指そうと始まったのである。プラット氏は「原発事故だけでなく、幅広く災害時の救援に役立つロボットとしてとらえたい」と説明した。

さて、今回ロボットは通信や電力のためのテザリングはなく、自分で歩いていくことを求められている。すべてのロボットが電池を搭載しているわけだ。万が一転ぶと、自力で起き上がるしかない。もし起き上がれなかった場合は、チームがスタート地点まで持ち帰り再スタートが切れるが、その分持ち時間を失う。リセット時間は10分だ。転倒で壊れてしまうロボットもいるだろう。

そして予選時と同様、通信はランダムに途切れることになっている。災害時に携帯やインターネットがつながりにくくなった、それと同じことをここで再現して、それでも任務を果たそうとするロボットを目指しているわけだ。最長では30秒も通信が切断される。その間ロボットは自律的に動き、一方チームはシミュレーターで何が起こっているのかを想定する。前回はロボットの目の前にいたチームは、ロボットが見えない場所でコンピュータ画面に向かうことになっている。ずいぶん実際の災害時に近い状態を真似たものになっている。

予選時ともうひとつ異なる点は、バルブの大きさやドアノブの形など、前回はかなり詳しいデータがチームに与えられたが、今回はそうではないということ。ラフなスケッチでどんなものになるかは伝えられたものの、実際には少しサイズを変えたりしているという。「詳細なマップを作っておいて、それを遂行する、といったことができないようにした」と、プラット氏は語った。

ブリーフィング後は、会場の下見へ。

右側の長い長いトラックの先からロボットが車を走行。手前で降りて、左側ののドアを開けて一連のタスクを遂行する。

右側の長いトラックの先からロボットが車を走行。手前で降りて、白い扉を開けて一連のタスクを遂行する。

チャレンジには、一度に4チームが同時に臨む。そして、1日目、2日目と2回トライでき、得点の多かった方が採用される。

ステージはなかなかうまく作られていて、向こうから車に乗ってやってくるロボットが見え、車から降りたロボットが扉を開けるところからは、観客席にはまるでステージのように見えるようになっている。これが4つ並んでいるということだ。

タスクとタスクの間は、思ったより近い。ロボットは右側から扉を入って登場

タスクとタスクの間は、思ったより近い。ロボットは右側から扉を入って登場

「ハリウッド並みのステージセットです」とDARPAの広報担当者は言った。確かに。

「ハリウッド並みのステージセットです」とDARPAの広報担当者は言った。確かに。

ここから、チームがロボットの準備を整えているブースへ向かった。予選と違って、ちょっと離れた場所にある建物がチームの拠点になっている。

この建物の中に、全チームとロボットが。

この建物の中に、全チームとロボットが。

中の様子は圧巻である。広い空間がチームごとに仕切られ、どのチームも10数人〜数10人というメンバーでサポートしているようで、ともかく人が多い。そしてロボットの数も多い!

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ここからは、各チームのブース内を撮影した写真をご覧いただきたい。ロボットとチームの様子を見ていると、明日からはどのロボットにも健闘してもらいたいと思うばかり。

●チームNEDO-JSK(日)

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●チームHRP2-Tokyo(日):上のチームと同じ東京大学の研究室が中心。

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●チームNEDO-Hydra(日)

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●チームAIST-NEDO(日):写真を撮ってはいけないマークが出ていたので、遠くから。。

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●チームAero(日本)

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●チームGrit(米)

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●チームRoboSimian(米)

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●Tartan Rescue(米)

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●チームValor(米)

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●チームWALK-MAN(伊)

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●こちらはロボティーク社のメンテナンス・デスク。アトラスを利用する全チームに同社のハンドが供給されている。他にもTartan Rescueなど全部で11チームが使っているという。

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●チームHector(独)

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●チームNimbRo Rescue(独)

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●チームHKU(香港)

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●チームWPI-CMU(米)

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●チームViGIR(米)

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●チームTrooper(米)

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●チームTRACLabs(米)

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●チームMIT(米)

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●チームIHMC Robotics(米):よく見えませんが、こちらもアトラス。

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●こちらは、ボストン・ダイナミクス社のアトラス・ヘルプデスク

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●チームDRC-Hubo(米)

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●チームKAIST(韓)

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●チームTHOR(米)

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●チームSNU(韓)

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●チームROBOTIS(韓国)

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