コー・ロボットは、次の競争の舞台

人間の作業員に混じって仕事をするコー・ロボットは、産業ロボットの新たなカテゴリー。デンマークのユニバーサル・ロボッツ社、アメリカのリシンク・ロボティクス社、日本のカワダ・ロボティクス社など、この分野ではすでにいくつかの製品が知られている。

そこへ従来の産業ロボットのメーカーも次々に製品を投入するという。『シカゴ・トリビューン』が伝えている

コー・ロボットが目指す市場は、電子機器産業という。細やかなアッセンブリー作業が必要なため、自動車産業に比べて自動化では遅れを取ってきた業界だ。ところが、センサー技術の発展によって、周囲の環境をよく認識できるようになったことで、状況が変化している。

ここで取り上げられているのは、2つのロボットだ。

ひとつは、スイスのABB社の2本アーム・ロボットの「ユミ(YuMi)」。カメラと圧力センサーによって、人間が行う動作をまねて時計やスマートフォンのアッセンブリーができる。4月から販売を開始する。ハンドが触れているものも認識して、次の作業を選択するといったインテリジェンスも備えている。ABB社は、昨年注文数が10%増加したという。

クカ社は、昨年「LBR iiwa」を発表した。インテリジェントな製造アシスタントという位置づけで、安全性のためのトルク・センサーがすべての軸に組み込まれている。

クカ社のLBR iiwa(http://www.kuka-labs.com/より)

クカ社のLBR iiwa(http://www.kuka-labs.com/より)

電子機器産業は今、アジアだけをとっても1000万人の工場作業員の手作業に製造を依存している状態。クカ社CEOのティル・ロイター氏は、同業界には2020年までに50万台のロボットが必要になると予測している。

そのために、グーグル、アマゾン、アリババなどの他業界からの参入も見られるようになってきた。アリババは、人工知能への大がかりな投資計画を明らかにしている。

ただ、ロイター氏は、ソフトウェア会社であるグーグルの参入はABB社、クカ社、ファナック社が築いてきた40年のメカトロニクスにおける知見をそう簡単には崩せないと見ており、それよりもパートナーとしての可能性を見いだしているようだ。

しかし、キヴァ・システムズ社を買収し、配送センターでロボット化を進めるアマゾンは間近な競合相手。クカ社が去年スイスログ社の買収を決めたのも、同市場での可能性に期待していることが背景にある。ロイター氏は、クカ社のアームは配送センターでの箱詰め作業にも使えると語っている。

産業ロボット・メーカーの製品も今後多様化しそうで、興味深い。

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