ボストン・ダイナミクス社から新顔登場。ひょっとして配達ロボット?
4本脚の恐ろしいロボット「ビッグドッグ」を開発したボストン・ダイナミクス社が、新しいロボット「スポット(Spot)」を発表した。『IEEEスペクトラム』が伝えている。
ビデオを見ると、スポットはやはり4本脚で、ビッグドッグを小型にしたようなかたち。軽妙な動きを見せ、何と言ってもビッグドッグとは比べものにならないくらい音が静かである。ビデオには、スポットは屋内、屋外両用のロボットで電動、油圧アクチュエーターを利用しているとの説明がある。頭部にセンサーが搭載されていて、デコボコの地面も歩行できる。重さは160ボンド(約73キロ)。
今やグーグルの傘下に入ったボストン・ダイナミクス社は、問い合わせやインタビューには応えない。そのため『IEEEスペクトラム』は独自の解説を試みている。そのポイントは以下:
・ガソリン・エンジンではなく、バッテリーで油圧ポンプを動かすしくみに変わったことで、歩行距離や耐久性、搭載量などの面で他のロボットと比べてパフォーマンスに大きな影響が出るはず。だが、同社のアトラスのアップデートでも同様のしくみを利用しており、そこで開発された同じ技術を用いているものと見られる。
・スポットは、速度や搭載量での向上を目指したもののように見えない。したがって、同社のL3やワイルドキャットの次世代版ではない。これらのロボットの脚は、膝部分が前方、後方いずれの方向にも向けられるようになっている。ワイルドキャットとチータは前向き、LS3は両方で、前者は速度優先、後者は搭載量優先のためと推定できる。そこから考えると、スポットの脚は 敏捷性のためか?
・スポットは上り坂や階段をスイスイと前進する敏捷さを確かに備えているが、ひょっとすると階段とすら認識していないのかもしれない。
・頭部のセンサーは、小型のヴェロダイン社製で、アトラスと同様のビジョン・センサーと思われるものも見える。しかし、前者はすぐ近くのものは見ていない様子で、他のセンサー手段で自律歩行をサポートしているはず。ただし、スポットのダイナミックな安定性は優れているので、ステップの位置を正確に計算する必要はなく、ただ前進しているのか。
最後に同誌は、「それで、このロボットは何のために作られたのか?」と問うている。『アーステクニカ』も「軍事目的から離れている同社は、このロボットが何の補助金で開発されたものかを、従来のように明らかにしていない」と指摘する。
『IEEEスペクトラム』の推論はすごい。ひとつは、グーグルっぽく「クールだから、作ってみた」というもの。そしてもうひとつは、「これは都市部で利用される配達ロボットかも」というものだ!
グーグルが、数々のロボット会社を買収した背景には、「ロジスティクス」において利用できるロボット開発の計画があるとうわさされてきた。ロジスティクスには、配送センターの商品箱詰めから配達まで幅広い作業が含まれる。製造現場での次世代ロボットも研究中であるとも言われていた。
もちろん、資金豊かなグーグルのこと、複数の種類のロボットを開発中という可能性もあるだろう。そして、もしこんなロボットが配達に来てくれたら……。
アマゾンのドローンも待ち遠しいが、こんな配達ロボットなら、道路に出て到来をお迎えしたいくらいだ。