2本の義手を、考えることで動かす

DARPA(国防高等研究計画局)の生物技術オフィスでは、『革命的人工器官』というプロジェクトを2006年から推進している。下肢に比べて上肢の人工器官は医療的にもエンジニアリング的にも難しいものと捉えられている。そこで技術を促進させようという狙いだ。

そのうちのひとつ、ジョンズ・ホプキンズ応用物理学研究所(APL)で開発された義手のビデオが下だ。

肩から両腕を失った人に2本の義手を付けるというケースも多くないが、さらにそれが脳信号でコントロールされているという画期的なものだ。つまり考えるだけで両方の義手がコントロールできるのだ。『エンドガジェット』が伝えている

ビデオに登場する男性は、40年前に電気事故で両腕をなくした。 今年夏に男性に付けられたのがこの義手である。利用されているのは、APLが長年にわたって開発してきたモデュラー式義手だ。

脳に埋め込んだ電極が神経の信号を拾って義手を動かした成功例はあるが、こちらは違った方法を用いている。

まず男性は標的化筋肉再神経分布(TMR)という手術を受けた。これはかつて腕や手の筋肉を動かしていた神経を、健康な筋肉へ再び割り当てる処置。

その後、それぞれの筋肉が動く際の脳のパターンを、パターン認識アルゴリズムを利用して記録。そこで個々の筋肉が縮まる際に筋肉と神経がどれだけ信号を送り合い、その振幅と頻度がどのくらいなのかを把握。その情報を義手の実際の動きに変換するわけだ。

男性は、身体に合わせて作られたソケットを身につける。ソケットは義手を支えると同時に、再分布された神経と義手との間の接続面にもなっている。

義手が最後の調整を受けている間、男性はバーチャル・アームを利用して練習を行っていたという。この男性にとって、バーチャル・アームと義手は同じようにコントロールができる、相互交換可能なものである。

現在この義手は研究室内でしか利用できないとのこと。だが研究者チームはいずれ男性が家に付けて帰れるようにしたいと語っている。

ジョンズ・ホプキンズ大学のリリースは、ここに。

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