農業ロボットにはどんなものがあるか
農業は、新しいタイプのロボットがいち早く導入される業界だとされている。これまでは安い労働力に頼ってきたが、農業従事者の数はどんどん減っている。そうした中、労働力を補い、ただ運営の効率化だけでなく、農薬利用を減らすといった点からも、農業ロボットが有効だとみなされるようになっているのだ。
農業ロボット市場は、2013年の8億1700万ドル規模から、2020年には163億ドルに成長すると予測されている(ウィンターグリーン・リサーチ調べ)。日本企業も期待される分野だ。
すでに製品化されている農業ロボットをいくつか紹介しよう。
ブルー・リバー・テクノロジーズ社のロボットは、「レタスボット」とも呼ばれている。レタスボットは、レタスの間引きをするのが仕事だ。
コンピュータ・ビジョン技術を用いて、生育し始めたレタスのかたち、間隔を認識し、混み合い過ぎた箇所ではレタスに強い肥料を噴霧して殺してしまう。それが、すぐ隣の残された芽には適度な濃度の肥料となって、生長を助けるというしくみだ。こうした間引きは、レタス栽培では長く行われてきたことという。
同社は2011年にシリコンバレーで創設され、先頃1000万ドルのシリーズA投資を受けた。
ハーヴェスト・オートメーション社は、農場や温室内での鉢植えを運搬し、設定した通りに並べるロボットを開発する。GPS信号には頼らず、ローカルなセンサーで稼動。鉢植えを並べ替えたり、集めたりといった作業を自律的に遂行し、また複数のロボットの間での調整も行う。
同社は2009年にボストンで創設され、現在はすでにシリーズCまで進み、合計2500万ドル近い資金で運営を拡大してきた。
スペインのアグロボット社は、いちごを摘み取るロボットを開発している。盛り土状になった列に植えられたイチゴに実がなると、それの大きさや熟れ具合を判定し、適切な実だけをカット。それをさらに分類してケースに詰める。
詳細は不明だが、スペインでいくつもの賞を獲得しているようだ。
ジェイブリッジ・ロボティクス社は、自律走行車システムの開発を行う。農業だけでなく、軍事、鉱業、製造業、流通業などにもサービスを提供している。農業では、農業関連の車両を提供するメーカーに自律走行システムを統合。収穫した穀物を運搬する自走車を作った。
拠点はマサチューセッツ州で、マサチューセッツ工科大学(MIT)とカーネギー・メロン大学の出身者が創設した。
フランスのウォリー社は、ワイン用のぶどうを収穫するロボットを開発。自走して木から木へと移動し、ぶどうの房を切り落としながら同時に剪定もする。6台のカメラを搭載し、それぞれのぶどうの木の状態も記憶するという。1台あたり3万2000ドルとのこと。
これら以外にもドローンは作物のモニタリングや害虫を追い払うためにも利用できると、農業で期待されているロボットの一種だ。
また、下のビデオはまだ研究段階のものだが、見ていて楽しいので、ここに掲載。シドニー大学の獣医科学部ケンドラ・ケリスク准教授の研究。