ロボットが2029年までに人間より知的になることは、「ない」
グーグルのエンジニアリングのディレクターに就任したレイ・カーツワイル氏が方々で説いていることで、あと15年もすればロボットの知性は人間を超えるという論調が目立っている。
それに対して、西イングランド大学ブリストル校ロボティクス学部のアラン・ウィンフィールド教授が『ロボハブ』で反論している。
ウィンフィールド教授の論点は次の5つだ。
(1) 人間と同じくくらい知的と言っても、一体それが何を指すのか。人間には、分析的、論理的知性だけでなく、感情的知性、社会的知性など、さまざまな知性がある。
(2) 身体と心は二分できない。ロボットでも、ハードウェアとソフトウェアはひとつのものとしてデザインされなければならないが、その方法をわれわれはまだ知らない。現在のパラダイムを超えたアプローチが必要。
(3) 教養ある大人の知性を指すのならば、生まれてから発展的に習得するような知性は、ようやくわれわれが理解し始めたところでしかない。
(4) ムーアの法則はコンピュテーションにあてはまっても、部品ではない知性にはあてはまらない。いわばカテドラルの設計図と、それを実現するためのノウハウが必要。
(5)知性の先に、学習や意識というもっと難しい課題がある。