グーグル、アップル、アマゾンはロボットで何をするのか

「グーグル、アップル、アマゾンなどの大企業がロボットへ手を出していることは何を意味するのか?」という問いを、『ロボハブ』が専門家たちに投げかけている。その中から、いくつかの意見を要約で紹介しよう。

 

●アラン・ウィンフィールド(西イングランド大学ブリストル校ロボティクス学部教授)

買収ごとにメディアが騒ぎ立てるのは、これら企業をセレブ扱いし過ぎ。大企業が小さな企業を買収するのは当然のこと。ただし、課題はロボットなので各企業ごとに考えてみよう。

アマゾンは、インターネット企業とは言え、その裏に倉庫とロジスティックス運営がある。その意味でキヴァ・システムズ社の買収は賢明だった。この手の買収がもっとあっても驚くべきではない。しかし、ドローンで配達というのは人目を引くための見せ物だろう。

アップル製品は、世代を追うごとに精密になり、製造が難しくなっている。精密な製品には精密な製造機械が必要で、ロボットに投資しているのは不思議ではない。

グーグルは、この中ではもっとも意外だった。あれほどの深い懐があれば、理由もなしに金を使ってもおかしくはないが、これは長期的な視野に立っての投資だろう。もはやインターネットにつながっているのはコンピュータだけではない。実際にどんな展開になるのかはまだ見えなくとも、モバイル・ロボットやネストのようなスマート環境機器が未来をかたちづくると判断しているのだろう。インターネット・オブ・シングズ時代に他社に追い抜かれないよう先手を打ち、「インターネット・オブ・エヴリシング」を勝ち取るためのロボット投資だ。

●マーク・ステファン・メドウズ(ジェペット・ラボ社の創設者兼CEO)

グーグルは、アップル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフトを足したよりもたくさんの買収を行ってきた。ロボット会社の買収では、画像認識とナビゲーションとモビリティーのパッケージを手に入れたようだ。ここから、家庭や街中で歩き回り、人々を手助けするようなロボットが出てくるだろう。このロボットはシンプルな動きしかしないが、シャープな目を持ち、われわれはサービスを受けるのと引き換えに、個人情報を差し出す。グーグルはそれを広告主に売る。すでにメールやマップのサービスでやっているのと同じことだ。

だが、それよりも今回の買収によって新しい産業が作り出された。ロボット産業だ。「産業の出発」はビル・ゲイツが生み出したコンセプトだ。IBMが生み出したPCだが、儲けたのはマイクロソフトやアップルだ。歴史は繰り返す。だから、この3社が数年後にまだ残っていたとしても、ロボット産業を今まで聞いたこともないような会社が牛耳っていてもおかしくない。

ところで、IBMは今でもロボット市場でのメジャー・プレーヤーであり、昨年は10億ドル以上をワトソンに投資した。その力の入れようは真剣さを物語っている。

いずれにしても、パーソナル・データがこれらの会社の収入源となる。新しい産業が興り、グーグルは情報を集め、ロボットがそれを売る。それを一体誰が買うのかが、キーとなる問いだ。

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