グーグルが投資する、ラボ・ロボット会社の内部
シリコンバレーにあるトランスクリプティック社は、グーグルの投資部門グーグル・ベンチャーズが120万ドルを投資するスタートアップだ。これまで内情が公開されなかった同社を、『ザ・ヴァージ』が取材している。
同社は、生命科学研究をもっと安くスピーディーにすることを目標に掲げ、ロボットを用いた実験の自動化を請け負っている。提供するサービスは、細胞クローニング、ジェノタイピング(遺伝子型決定)、バイオバンキング(ヒト試料、医療情報の収集)に関連するもので、2013年初めから注文を受け始めている。
現在の顧客はスタンフォード大学、カリフォルニア工科大学、シカゴ大学などだが、現在顧客数が毎月倍増するほどビジネスが拡大しているという。現在実験過程をアウトソースされているような外部請負会社も、潜在的顧客と目論んでいるようだ。
顧客が同社に送ってくるのは、DNA、マウスの細胞などの試料と、それをどう操作するかの指示。これにしたがってトランスクリプティック社のスタッフがロボット・アームをプログラムする。これまでならば、研究室の博士課程の学生が来る日も来る日も試験管を使って繰り返していたような仕事を、同社のロボットは自動化するのだ。これにより、実験手順の間違いを発見するのも速くなるという。
同社を創設したのは、現在24歳のマックス・ホダック氏。すでに高校生が自分にふさわしい大学を選べるサービスを提供するマイフィットという会社を創設して売却した経験を持つ。デューク大学でブレーン・マシーン・インターフェイス(BMI)を研究していた際に、ラボでの実験作業があまりに大変なのを知って、このサービスを考案したらしい。アマゾンのクラウド・サービスAWSのように、基本的で誰もが必要とするサービスを、クラウド経由で低価格で提供するモデルを目指しているという。
現時点では同社の社員は9人。3Dプリンティングを使った手作りの機器も多いようだ。
「生物学で重要なのは分析。人が手で単純作業を繰り返すのは、人の価値の無駄遣い。人は論文を書き、クリエイティブな実験を行って高度な仮説を試すところにこそ、その価値が発揮される」とホダック氏は語っている。なるほど、である。
グーグル・ベンチャーズのサイトを見ると、同社は「生物科学および健康分野での投資」に分類されていて、最近のロボット企業買収とは同列には並んでいないようだ。だが、他の分野を前進させるような、ロボット技術の応用方法は今後ますます増えていくことだろう。