DARPAロボティクス・チャレンジ前夜
ロボニュースもDARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)を取材するために、マイアミにやってきた。本日は、メディア向けのブリーフィングに参加。
会場となっているホームステッド・スピードウェイは、いつもはカーレースが開かれる場所。そのトラック上に、8つのタスクのための建て込みが作られ、最終的な仕上げが行われている最中だった。
福島原発事故の教訓から、人間のような作業ができるロボットの開発を促進するために行われるDRCは、12月20〜21日の2日間で予選が行われる。これまでトラックA、B、C、Dで勝ち抜いてきた17チームが闘うことになっているのだが、中国のチーム、インテリジェント・パイオニアは、ロジスティクス(あるいはチームの旅行スケジュール)の問題で参加ができないようだ。
DRCでは、原発事故を想定した8つのタスク(自動車を運転する、デコボコの地面を歩く、はしごを上る、障害物を取り去る、ドアを開ける、壁に穴をあける、バルブを回す、ホースを取り付ける)をそれぞれのロボットが競う。
得点は、タスクごとに4点満点。たとえば、「ドアを開ける」タスクでロボットは3つのドアを開けることになっているが、それぞれの難易度が異なる。押すだけのドア、引くドア、引くドアだが、閉まろうとするのを手で支えなければならない、などだ。それぞれをこなすごとに1点。そして、タスク内でロボットが完全に自律的に機能した場合は、さらにボーナス点が1点加算されるしくみ。ひとつのタスクに30分が割り当てられる。
DARPAの担当者でプログラム・マネージャーのギル・プラット氏によると、「今回の予選では、時間の要素は大目に見ることにした」とのこと。たっぷりと30分を与えて、タスクをしっかりやってもらおうということだ。来年の決戦時には、もっと速さを要求する予定という。
8つのタスクは原発事故を想定したものだが、通信状態も同様だ。チームは、ロボットが直接見えない各チーム・ガレージからロボットをモニターし、操作する。ロボットとガレージを結ぶ通信は、意図的に良好状態から劣悪状態に1分ごとに切り替えられるという。災害直後の劣化した通信状態を模倣するためだ。
ロボットには、ラボのような一定した環境の中で完璧に機能するよう作られたものもあるが、このDRCは光や地面、そして通信などの環境が不揃いでも機能する力強いロボットを競う。つまりは、「想定外」でもちゃんと働くロボット。そして、ロボットの機能性と共に、人間のオペレーターの判断や介入も最終的な達成レベルを左右する。
明日からのチャレンジが楽しみである。