『ロボビジネス2013』会議レポート<その2> 展示会場で気になったロボットたち
『ロボビジネス2013』会期中は、隣接する展示会場で70社近いロボット・メーカー、部品メーカー、スタートアップ、関連出版社などが出展していた。
何と言っても目立ったのは、会場入り口に大きなブースを構えていたスータブル・テクノロジーズ社。この会議のゴールド・スポンサーでもあり、またここに来られない関係者にテレプレゼンス・ロボットのビームをレンタルしていたこともあり、何かと目立つ存在だった。
会場では、遠隔地からこの展示会を見にきた人々(=ビーム)が何人も通路を移動していた。ところどころのブースで立ち止まって説明を受けていたりもする。テレプレゼンス・ロボットの受容と共に、こんな風景はこれからいろいろなところで見られるようになるのだと思う。移動できることは非常に便利だ。
ただしビームは、ユーザーの操縦が必要。これに比べて、たとえばアイロボット社のアヴァ500は目的地を設定して自走させることが可能。機能や外観、価格の点ですでにテレプレゼンス・ロボットも多様化しつつある。
注目を集めていたもうひとつのロボットは、リシンク・ロボティクス社のバクスターだ。写真で見ていたよりも一回り大きく、アームも太い。だが、動きを記録させるために、実際にアームを掴んで動かしてみると、意外にも軽やかに動かせるのが驚きだった。
最近のバクスターのビデオでは、このアームが作業員にぶつかるところが出てくるのだが、ブースの係員も同じようにアームを自分にぶつからせてプレゼンテーションしている。そういう申し合わせになっているようだ。つまり、人にぶつかるとアームは止まり、アームがぶつかっても痛くない、ということだという。
そのバクスターの斜向いには、アンバウンデッド・ロボティクス社のUBR-1が数台いて、こちらも人気を集めていた。ウィロー・ガレージ社のPR2の妹のような愛らしい存在感のあるロボット。アームは1本しかないが、7軸でかなり長く、意外にもしなやかさも感じさせるデザインだ。
「こういうアイデアもあるか」と思わせたのは、買い物かごロボットのバジー・ボットだ。プロトタイプで、個人ユーザー用とスーパーマーケットなどの店舗へのリース用の2モデルを計画しているという。写真は個人用のもの。
バジーは、マッチ箱大の超音波発信装置の信号を感知する。ユーザーがベルト後部などに発信装置をつけて先導すれば、バジーは重い荷物を載せてついてくる。街中へ買い物に出かけたり、公園へ散歩に行ったり、あるいはオフィスの中での移動などの用途を考えているという。
一方、スーパーマーケットなどでは、商品をかごに入れるごとにスキャナーが認識して記録し、買い物を終えるとバジー・ボットの頭部に取り付けられたクレジットカード・リーダーにカードをスキャンさせて支払いを済ませるというしくみという。ユーザーが店内を歩いている時は発信装置を追って移動するが、商品をかごに入れようとするユーザーがバージーの方を向くと、ユーザーの背面に付けられた発信装置が見えなくなるので停止する。
超音波発信装置をどのように客に手渡すのか、またアメリカではよくある屋外駐車場までバジーが荷物を運ぶのか、駐車場からどうやって店まで戻るのかなど、運営上の疑問が残るが、確かにこんな買い物かごロボットがいたら便利だ。
バジー・ボットを作ったファイブ・エレメンツ・ロボティクス社はニュージャージー州に拠点を持ち、これまで研究用ロボットのセンサーを開発してきたという。
ニートはお掃除ロボット、ルーンバの競合製品。ルーンバよりも弱冠価格が安いことで知られている。また、部屋内を移動する際に、まず部屋の輪郭を辿って認知してからは、きっちりとジグザグ状に動いていくのが特徴だ。ルーンバがランダムに移動するのとは対照的だ。テクノロジー・メディアなどでの評価では、音が大きく、動きもゆっくり気味という。
他にも、ロボビジネス会議のピッチファイアーで名誉賞を受けたカクテル・ロボットのムシュー、ヨーグルトを作ってくれるロボットなども出展されており、研究から実用、エンターテインメントまで、さまざまな分野でロボットが活躍を始めている様子が感じられた。