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注目の医療、介護ロボット会社を見る。『RBR50』より

先頃『ロボティクス・ビジネス・レビュー』が選んだ注目のロボット会社50選『RBR50』。その中には、けっこう多くの医療、介護ロボット会社も含まれていた。

それらがどんなロボットを開発しているのか、少し詳しく見てみたい。

Robot - esko

エスコ・バイオニクス社のエクソスケルトン。アメリカでは数社あるエクソスケルトン開発会社の中でも、よく知られている1社(http://www.eksobionics.com/より)

 

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インテューイティブ・サージカル社の苦境

インテューイティブ・サージカル社は、ロボット会社のホープとされてきた。

ロボット研究からスピンアウトして創設された同社は、手術ロボット「ダヴィンチ」を開発。その非侵襲的な利点が多くの病院で認められて、利用が広まっていたのだ。ダヴィンチが用いられる手術の種類も前立腺がんから、子宮がん、胆嚢摘出、子宮摘出などに拡大していった。

ダヴィンチの値段は1台あたり230万ドルと高価だが、同社の売上は10年間に1500%増え、株価は3000%高まった。そんな同社は、ロボット業界ではビジネス・モデルの成功例として、そして医療業界では先端的なテクノロジーの導入を支える例としてよく取り上げられる存在だったのだ。

ところが、同社は昨年からさまざまな障害に直面している。

インテューイティブ・サージカル社のサイトより

手術ロボット、ダヴィンチ(http://www.intuitivesurgical.com/より)

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ロボットが資本集約型産業というのは、間違い

「ロボット産業は、バイオテクノロジー産業よりも資本集約的でない」という論説が『IEEEスペクトラム』に転載されている。ドローン会社のテラヴィオン社創設者兼CEOのロバート・モリス氏によるもの。分析には、同氏が卒業したカーネギーメロン大学のMBAプログラムの教授らも関わった。

モリス氏の考察から。資産と売上を、ロボット産業とバイオテクノロジー産業とで比べた場合

モリス氏の考察から。資産と売上を、ロボット産業とバイオテクノロジー産業とで比べた場合

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「予期せぬ事態でも、そこに医師が居合わせることができるのです」 RP-VITAを訪ねて<その1> インタッチ・ヘルス社CEOユーラン・ワング氏インタビュー

医療関連のロボットを開発するインタッチ・ヘルス社は、遠隔地から医師が患者を診断したり現場とコミュニケートしたりするのを仲介するテレプレゼンス・ロボットを提供してきた。

昨年、アイロボット社から600万ドルの投資を受けた同社は、最新型のRP-VITA(アールピー・ヴィータ)にアイロボット社の自走技術を統合。病院内で人や障害物を避けながら目的地にたどり着き、医師が院内を回診したり、看護士とやりとりしたりするのをサポートする。医師の時間を有効に活用しつつ、まるでそこに医師がいるかのように機能して、細やかな医療を可能にするツールだ。今年FDAの認可を受け、現在すでに世界の6病院で利用されている。

インタッチ・ヘルス社は、ロボットに加えて、そのコントロール・ステーションやソフトウェア、ネットワーク・プラットフォームなども含んだ包括的なサービスを提供し、医療現場への先端テクノロジー導入に積極的に取り組むことで知られている。

インタッチ・ヘルス社があるのは、サンタ・バーバラ空港近くの新興企業が集まった地域。社員はおよそ200人。外見はこじんまりとしているが、社内はオープンスペースの気持ちのいい空間だ。その中に、病室を模した研修室やロボット製造の工場もある。

2002年に同社を創設したユーラン・ワング会長兼CEOに、ロボニュースがインタビューした。

ユーラン・ワング氏とRP-VITA

ユーラン・ワング氏とRP-VITA

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「日本人はロボットのアーリー・アダプターになる」。SRIロボティクス・プログラム・ディレクター リチャード・マホーニー氏インタビュー

SRI(スタンフォード・リサーチインスティテュート)インターナショナルは、政府機関や企業から受託して、先端技術に関わる研究開発やそのサポートを行う非営利組織である。シリコンバレーのメンロパーク市に拠点を持ち、研究開発内容は生物科学、医学、宇宙工学、素材産業、情報システム、コンピュータ科学、環境科学など多岐にわたっている。

ことに、ロボット開発の歴史は長く、現在もエンジニアリングR&D部門のロボティクス・プログラムに引き継がれている。有名な手術ロボットであるダ・ヴィンチが最初に開発されたのもここで、インテューイティブ・サージカル社は50社以上もあるSRIのスピンアウトのひとつである。

シリコンバレーのロボット業界の中心人物のひとり、SRIロボティクス・プログラムのディレクター、リチャード・マホーニー氏に、ロボニュースがインタビューした。

SRIロボティクス・プログラムのディレクター リチャード(リッチ)・マホーニー氏

SRIロボティクス・プログラムのディレクター リチャード(リッチ)・マホーニー氏

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気になるダヴィンチ手術訴訟のゆくえ

医療ロボットの最前線を切り開いたとして注目を集めているダヴィンチ(インテューイティブ・サージカル社)が、数々の訴訟の前に苦境に立たされている。

インテューイティブ・サージカル社のサイトより

ダヴィンチ・ロボット(インテューイティブ・サージカル社のサイトより)

ダヴィンチにまつわる訴訟は、集団訴訟も含めて現在26件以上に上っている。4月半ばに、その最初の裁判がワシントン州の州裁判所で始まり、2008年にダヴィンチで前立腺摘出手術を受けた男性の遺族が原告となっている。

この訴訟の内容は、手術の4年後に男性が死亡した理由は、インテューイティブ社がマーケティングを優先するあまりに医師への訓練がおろそかになり、手術が適切に行われなかったというものだ。

これに対してインテューイティブ社側は、訓練は適切に行われていた上、男性は手術前から糖尿病や高血圧症を抱えており、死因は心臓疾患によるものだと反論している。

裁判は約1ヶ月続くものとされているが、FDA(連邦食品医薬品局)は先頃、全米の医師への聞き取り調査を開始した。

アメリカでは、昨年だけでもダヴィンチを利用した手術が30万件以上行われているという。裁判のゆくえは、医療関係者と患者双方にとって気になるものとなっている。

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