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原発施設へ侵入する、ヘビ型ロボット

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カーネギーメロン大学のバイオロボティクス・ラボが、ヘビ型ロボットの原子力発電施設での配置実験を行った。パイプの内外部をつたいながら、これまでの工業用内視鏡では届かなかった曲がったパイプの奥まで侵入し、施設の調査や点検を可能にする。2日間にわたる実験では、失敗は一度もなかったという。

パイプの内側、外側をつたうヘビ型ロボット(カーネギーメロン大学のバイオロボティクス・ラボのサイトから)

パイプの内側、外側をつたうヘビ型ロボット(カーネギーメロン大学のバイオロボティクス・ラボのサイトから)

使われたロボットは全長37インチ(約94センチ)で、16モデュールで構成されている。各モデュールは2個の半関節からなっており、全身で16度の自由度を備えている。移動では、SLAM(同時位置推定および地図作成)を利用して自律走行し、センサー付きのビデオ・カメラはロボットが回転しても上下を保った画像を送信した。カメラは向きをリモートに調整することもできる。

実験では、内径18インチ(約45.7センチ)や6インチ(約25.2センチ)の蒸気パイプを進んでいったが、その中には別のパイプが挿入されていたり、バルブが設けられていたりしたものもあった。さらに、垂直によじ登る動きも問題なくこなした。

実験が行われた施設は、1970年代に建設されたが一度も稼動したことのないオーストリアのツヴェンテンドルフ原発だったが、大学側のチームは現場作業員とのブレーンストーミングから多くの課題を得たという。たとえば、ロボットを防水性にする必要性や、万が一の場合にパイプの奥からロボットを取り出せるようにするしくみなどだ。

このヘビ型ロボットは、ヘビのように人間には入り込めない場所に侵入できるが、同時に生物のヘビにはできない動きも可能という。生物からヒントを得て、生物以上の性能を持つ。これこそロボットの極意と言える。

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