ライトハンド・ロボティクス社、こういうハンドがあったか!

ロボット関係者が「こういう手があったか!」と感心しているロボット・ハンドがある。ボストンのライトハンド・ロボティクス社によるものだ。

フィンガーの中央に吸引カップがある(www.righthandrobotics.com/より)

同社は、4月初頭にシカゴで開催されたロボット見本市『ProMat 2017』に出展し、最新の技術を披露したようである。

そのハンドは、柔らかなフィンガーの中央に伸縮式の吸引カップがついたもの。対象物を見つけるとまずこのカップが伸びていって吸引し、縮んでハンドに近づけ、十分に近づいたところでフィンガーが閉じる。まさに「手中に収める」という感じの動きだ。

ビデオで見る限り、同社のハンドには2本フィンガーや3本フィンガーに吸引カップがついたものと、吸引カップだけの製品がある模様。ProMat では複数のソリューション会社のブースで展示していたようなので、おそらくすでに顧客も多くいるものと思われる。

アマゾン・ピッキングチャレンジ(APC)でも、ハンドの形状はキーだ。最近はフィンガーと吸引カップの組み合わせがよく見られたのだが、このように真ん中に伸縮型の吸引カップを統合するというのは、あるようでなかったアイデア。うまく考えたものだ。これひとつで、かなり多様なモノが確実にピックできるようになる。

ただ、ライトハンド・ロボティクス社の強みはハードウェアだけではない。同社は、機械学習とクラウド・ロボティクス技術を利用して、ロボットがピックする対象とその方法をどんどん学習していくというプラットフォームを開発しているのだ。

『テクノロジー・レビュー』によると、ハンドの中にあるカメラがどの要素を利用して把持するかを認識する。機械学習によって制御アルゴリズムが向上していくのだが、同社のハンドの動作の成果はクラウド・サーバーで繋がれた他のロボットも共有し、1台の学習が他のロボットの機能向上にも寄与する。同社のエンジニアがシステムにログインして、遠隔で問題を解決したり、新しい商品のピック方法を訓練したりも可能という。

果物、衣類、薬品などのピックが可能。右は同社のワークセル(www.righthandrobotics.com/より)

同社は、ハーバード大学バイオロボティクス・ラボ出身者2人によって2014年に設立された。それ以外にも、イェール大学グラブ・ラボ、MIT の出身者らが関わっている。

ロボニュースも創設間もない頃の同社の製品プロトタイプを目にしたことがあったが、同社は当初、フレキシブルなジョイントを持つハンドの開発を行なっていた。その後、フィンガーに触覚センサーを付けたハンドも作っ ていた。それが、新しいハンドの設計と機械学習、クラウド・ロボティクス技術によって、ここへ来て一気に前進したというところだろう。

同社は、先ごろアンディ・ルービンが主宰するプレイグラウンド・グローバルを中心とする投資家から、シリーズA資金800万ドルを調達している。期待がかかるロボット会社のひとつと言える。

 

 

 

 

 

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